あの恋愛ゲームの舞台で注目の旅館が破綻、負債21億円

★「ホテル大野屋」

2010.11.20

 恋愛シミュレーションゲームの舞台として話題となった静岡県熱海市の大型温泉旅館「ホテル大野屋」(大野屋本店)が19日、静岡地裁沼津支部に民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると、負債は約21億5000万円。通常通り営業は続ける。

 話題のゲームはコナミが6月に発売した「ラブプラス+(プラス)」で、男子高校生が女の子と交際し、親密になると熱海に1泊旅行するというストーリー。ゲームに実名で登場した大野屋では、予約時に「ラブプラス+」と告げれば男性1人でも布団を2組用意するサービスがファンにウケて、「携帯ゲーム機片手に訪れる男性客でにぎわっていた」(関係者)という。

 ただ、近年は客数の減少が著しく、「債務超過のもとで厳しい経営を強いられてきた」(別の関係者)。1934年に温泉旅館として創業した大野屋は、一時は「ローマ風呂の大野屋」として全国的に知られ、バブル期には団体客を中心に高い客室稼働率を誇った。客室数は174室と、熱海では最大手クラス。ところが、近年、熱海への宿泊客は60年代後半の年550万人からほぼ半減しており、大野屋も「多少の集客増では経営を支えられなかった」(同)という。

 コナミは10年9月中間連結決算で、営業利益が前年同期比74・6%増の80億5000万円と、“ラブプラス+効果”で業績を押し上げた。熱海は市をあげてラブプラス+効果による人気復活を狙っていて、温泉街きっての老舗旅館も一発逆転を狙ったものの、及ばなかったようだ。

 

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