湘南戦を前に、チーム練習を見つめるストイコビッチ監督
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J18年目の悲願へ、ピクシーが大号令をかけた。リーグ首位の名古屋グランパスは20日の湘南戦(平塚)に勝ち、2位・鹿島が引き分け以下ならリーグ初優勝が決まる。ドラガン・ストイコビッチ監督(45)は19日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターでの練習で、チーム全員の結束を高め、大一番へげきを飛ばした。主将のGK楢崎正剛(34)は「あと2つ勝てばいい」と自然体で臨む。
時は来たれり。ストイコビッチ監督が、新たな歴史の扉を開く決意を口にした。
「我々が歴史をつくり、クラブの1ページをめくりたい。シーズンを通して戦って走って、時には泣いて、この瞬間を待っていた」
チーム一丸を象徴する最終調整だった。試合前日のミニゲームはベンチ入りメンバーだけで行うのが通例だったが、この日はリハビリ組以外の全選手が参加した。「一緒に戦い、団結している証拠だ。その気持ちを全員が持ってほしい。全員がチームの一員だ」。17日の天皇杯、新潟戦も若手メンバーで勝ち抜いたばかり。湘南戦には選手全員が試合会場に駆けつける。チームの結束力は最高潮に達している。
最後の仕上げは約10分間の青空ミーティング。「大事な試合になる。歴史を見てもいろんなことが起こるが、どんなサプライズも起こさせないぞ」とげきを飛ばした指揮官の目に映ったのは、頼もしい戦士たちの姿だった。「彼らの目を見たら、本当に真剣なプロの目をしていた。それで十分だ。彼らと仕事をしてきて本当によかった」と最大限の信頼を寄せた。
J2降格が決定した湘南が相手。勝っても優勝決定は鹿島次第という条件がつくが、やるべきは1つだけ。「あらゆるサプライズの可能性をつぶしていく」。報道陣には「サプライズ」という言葉を4度も口にして、勝ち点3へ石橋をたたくような慎重さを見せた。
苦節18年。あと一歩までたどり着いた。赤鯱軍団の総力を結集し、悲願を成し遂げる。 (塚田陽一郎)
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