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わたしたちの生活周辺で、またも「軍靴の音」がにわかに高まりつつある。政府が年内に策定する新たな防衛計画大綱に関し、民主党の外交・安全保障調査会が取りまとめた提言案のことだ。
提言案では自衛隊で使用する言葉を旧日本軍の用語に変更し使用することをはじめ、陸海空自衛隊トップである幕僚長や統合幕僚長を天皇の認証官ポストにすることなどを求めている。
沖縄は先の第2次世界大戦で激しい地上戦の舞台となり、住民ら多数の犠牲者を出した。住民を守るべき軍隊、旧日本軍が住民に集団自決を強いる状況に追い込んだことを忘れてはいない。県民にとって、旧日本軍を想起させる用語の復活は強い抵抗感がある。
天皇の認証官ポスト化は、自衛隊を「軍隊」へと格上げ、強化しようとする意図もが透けて見える。
先の大戦の反省を踏まえ、憲法では9条で戦力の不保持や交戦権否認を規定している。これまで9条と自衛隊の存在との整合性を図るため、あえて軍隊で使用する用語を避けてきた。
現在の用語使用によって、実力組織の自衛隊を政治的にも抑制してきた側面がある。
旧日本軍の用語復活、認証官ポストの提言の背景には自衛隊側の長年の強い願望があるといわれる。しかし、民主党内で深く議論した形跡すらなく、国民に議論を呼び掛けたわけでもない。あまりに唐突だ。
さらに提言案では、部隊や装備の大きさよりも即応力や機動力に重点を置く「動的抑止」という新しい考え方を打ち出した。
南西諸島への陸自部隊増員に加えて、次期戦闘機(FX)の早期取得、対潜水艦戦力の増強など空海自衛隊の警戒監視能力向上の必要性を強調している。
武器輸出三原則の見直し、国家安全保障会議(NSC)を新設し、情報収集を強化することなども提言に盛り込んでいる。政府内にも異論があり、新防衛大綱に盛り込まれる見通しは立っていないという。
だが、これら提言は、平和憲法の下で、戦後日本が歩んできた平和国家としての在り方を逸脱しかねない危険性をはらんでる。
軍事的緊張がことさら強調され、平和憲法がなし崩し的に形骸(けいがい)化される事態があってはならない。
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