それでも援助は続きます。

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「SAPIO」,「週刊ポスト」(ともに小学館)に、日本の対中経済支援(ODAを含む)について疑問を呈した記事を書いたところ、尖閣事件のせいもあり、あちこちで紹介されているようです。ありがたいことです。

で、それが反響を呼べば呼ぶほど、『反論』めいた意見も見受けられるようになりました。たとえば、『日本は賠償金を払っていないので、援助は当然だ』、『中国はちゃんと返済している。日本は儲かっている』『黄砂対策など、日本にとっても有益だから、今後もやるべき』『日本企業が受注しているのだからいいではないか』

支援の理由付けのための珍論、迷論が目に付きます。日本のODAを合理化するためでしょう。とはいえ、対中ODAについては産経新聞の古森義久さんと私くらいしか、ちゃんと取材して、本にまとめていないせいもあり、こう言われるとそうかな、と思わされるかもしれません。新聞もテレビも報道しませんからね。
関心のある方は私の「中国ODA6兆円の闇―誰のための、何のための「援助」なのか!? (祥伝社黄金文庫)
」を参考にしていただきたいのですが、いずれも、すでに、聞き飽きたいつもの「反論」のオンパレードです。いずれ、まとめて全面的に反論させていただきます。


尖閣戦争に敗北したのは政府ばかりか、一部を除いた日本のジャーナリズムも同様でした。彼らはこれまで、そしていまでも、対中援助合計7兆円、世界一、中国を支援してきた日本のODAの実態を報道することありませんでした。

2008年度、ODAの90%を占める円借款が終わった際、日本の外務省は中国側に「この30年間の日本の援助について総括レポートを出してほしい」と打診したものの、中国側に一蹴されています。こんな話も読者は今始めてお聞きになったはずです。中国政府は自国民に日本の援助を報道も、広報していない。そればかりか、感謝もしていない。そして援助の終了に当たってさえも、30年間にわたる膨大な支援の総括すら拒否したのです。これが「日中友好」の正体だったのです。

唖然とする話を紹介しておきましょう。
中国政府のこうした姿勢に、危機感を高めた、日本の国際協力銀行(円借款を担当)が、援助継続のためと称して、私たち日本人の血税をつかい、北京空港内に対中援助の広報掲示を、(それも極めて控えめで、抽象的なものなのですが)行っていたのです。(供与された援助額は300億円、総額費用の4分の1に当たります)

繰り返します。中国がすべき中国国民に対する広報を、援助する側の日本側が代行して行ったのです。広報資金の出所は私と読者の皆さんの財布からでした。

こんなことはODAの被援助国では他に例がありません。カンボジアにしろ、ミャンマーにしろ、インドにしろ、必ず日本の援助で建てられたとの広報が通常なのです。


驚く話はまだ続きます。中国側は掲示期間をたった1年しか認めず、さらに延長を求める日本側に対して、中国はこう回答したのです。「こんなものを展示しても、儲からないので、撤去してくれ」。スペースを企業に広告として貸し出して、儲けたいというのが本音でした。
そこまで言うかというほどの高飛車ぶりです。援助ばかりか、広報まで、すべて日本人の税金。で、財政赤字になったから、日本国民の消費税は10%にします。
いったい日本政府はどこの国の政府なのでしょう。これは自民党政権時代の話です。
だが、日本の新聞テレビなど報道機関もまともなODAレポートを行ってはいない。これはどういうことなのでしょうか。

読売新聞の元北京支局長は私の面前でこう言い放ちました。
「実態を報じることは、日中関係にマイナスであり、反中国勢力を喜ばせ、日本のナショナリズムを刺激する」と。今回の尖閣事件や撮影ビデオ流出事件とまったく同様で異様な政治的スタンスなのです。

新聞のなかでも、朝日や毎日は確信犯といっていいほどです。しかし、事実を報道しないことを前提になりたつ「友好」とはなんなのか。あれほど報道の自由、言論の自由を叫びながら、なぜ中国についてだけは、或いは対中ODAについてだけは沈黙するのか。

彼らは過去、韓国、フィリピン、インドネシアとアジアの「独裁政権と日本の援助の癒着」を散々書き立ててきた。だがその『正義のペン』はなぜか中国には向かわない。叩くのは小国だけである。ナント、欺瞞的な『正義のペン』なのでしょう。
日本はタブーのない自由な言論が保障された社会である。そうした建前は結構です。ならば事実を書け!民主主義国における報道の自主規制は独裁政権下の言論弾圧よりも犯罪的であると私は思います。

私はこれまで、政界、財界、官僚、そしてメディアの4社による『日中友好利権』体制がいかに国益を妨げているのかを指摘してきました。対中ODAはその一例にすぎません。今や腐臭漂う『友好体制』は領土を売り渡し、国民の血税を朝貢させ、政治家を土下座されるに至りました。こと、ここにおいて、ジャーナリストの責任は重大であります。

事実を書かない「記者」。彼らは去勢された宦官たちである。リアリズムと勇気をなくした記事。それは便所の落書きである。



追加
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青木直人講演会 主催 NLC岡山の会

日時 12月5日(日)
13時開場
13時30分~16時30分  

会場 岡山シティホテル厚生町 会議室211
   岡山市北区厚生町3-1-20
   電話 086-236-1000 

入場料 3000円

お問い合わせ 守岡 090-7770-8820

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