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【プロ野球】パのMVPも和田 セの和田と並び2010年11月19日 紙面から
ソフトバンク・和田毅投手(29)がついに「無冠の帝王」を返上した。1年目の新人王以降、入団から5年連続2けた勝利を挙げながらタイトルに縁がなかった和田が最多勝とパMVPのダブル受賞だ。大学出の投手のMVP受賞はパで5人目、8年目は最も遅い。黒とえんじのネクタイに濃紺のスーツ姿で緊張気味に晴れの舞台に立った左腕。ベストナインにも選ばれ「ビックリしました。自分でいいのかなという思いもありました」と満面の笑みだった。 昨季は左ひじの故障で4勝止まり。「悔しさを絶対ぶつけてやるんだという思いだった」と今季は26試合に登板。先発ローテを守り抜き、17勝8敗の成績を残した。「例年よりも冷静だった」(高山投手コーチ)と、試合では高い修正能力を発揮。同年齢の杉内と競い合うように白星を伸ばした。「杉内が柱として投げている中で、ふがいない成績ばかり収めていた。今年は何としても食らいついていこうという気持ちもあった」とライバルの存在に感謝した。 今季の主役は球界の発展にも目を向けた。母校早大がこの日、明治神宮大会を制し、日本ハムに1位指名された斎藤佑樹が胴上げ投手になった。和田も成し得なかった全国制覇を成し遂げ、実力、人気ともに今ドラフトでトップクラスの後輩との投げ合いが実現する可能性が出てきた。 「この4年間、彼もすごく苦しいところもあったと思う。有終の美で飾ることができて、プロの世界に入ってくる。歓迎して、彼の力を思う存分発揮して、プロ野球を盛り上げてもらえたら」 和田も常勝を義務付けられた早大で己を磨き、江川卓氏(法大→巨人)の東京六大学記録を塗り替える476奪三振を記録。後輩の青木(ヤクルト)や鳥谷(阪神)らと「強い早稲田」を築き上げた。「母校の結果は気になるんですよ」とシーズン中から常に気にかけてきただけに、斎藤が成し遂げた偉業に対する敬意を忘れなかった。 ただ、主役の座を譲る気持ちはない。2年連続のMVPを目指す左腕には、果たし得なかった日本シリーズ出場に、日本一奪還という明確な目標がある。「自分たちに至らない点があったと、素直に認めないといけない。来年こそ日本シリーズに出られるように頑張っていきたい」。来季も貪欲(どんよく)に頂点へ突き進む。 (山根崇)
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