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●目次
はじめに──被害者からの聞き書きの意味と方法
T 南京事件──それはどんな「事件」だったのか
1 犠牲者の数と時期・区域
2 南京爆撃
3 南京近郊農村の被害
* 農民の殺害
* 強姦および強姦殺害
4 南京城区の被害
* 南京陥落時の犠牲
* 城内掃蕩戦、残敵掃蕩戦による犠牲
* 軍事占領下の犠牲
U 南京近郊農村での証言
1 南京城区に近い村で
* 滄波門村
* 山西村
* 沙洲?
2 南京城区の郊外の村で
* 平家崗村
* 東流鎮
* 湖山村
3 虐殺の村で
* 許巷村
* 李家崗村
V 南京城内外での証言
1 肉親を殺害されて
2 集団虐殺現場からの生還
3 拉致、使役されて
4 レイプされて
W 南京事件は終わっていない
1 南京大虐殺証言者として生きる
2 一人の女性研究者の生き方
3 中国における南京事件研究
あとがき
●担当編集者より
1937年12月から翌38年3月にかけて日本軍が引き起こした南京大虐殺(南京事件)は、当時南京城内にいたアメリカ人の宣教師など欧米人の手で克明に記録され、広く世界中に伝えられました。
本書の著者、笠原十九司・都留文科大学教授は、これまでそうした文献資料をもとに南京事件の研究をすすめてきましたが、その蓄積に立って、南京城内外に今も生きる被害者を訪ね、その被害体験を聞き取ったのが、本書です。聞き取りには中国人の研究者が同行しましたが、基本的には著者自身が中国語を使って行いました。掲載されている証言者の写真も著者自身が撮影したものです。
本書のT章ではまず一般読者のために、南京事件とは一体どのような「事件」だったのか、その全体像がこれまでの研究成果にもとづいて解説されます。続くU章で南京近郊農村での被害体験が、そしてV章で南京城内外での体験が、肉親の殺害、集団虐殺、日本軍による拉致・使役、レイプの四つに分類されて語られます。これにより、中国民衆の一人ひとりにとって南京事件はどのようなものであったかを、私たちは具体的に教えられるのです。
昨年秋、石原東京都知事は米国での講演で、人間の生死について、中国は民主主義の米国とは違った観念をもつ国だから、戦争となっても米国は最後には中国に敗れると発言し、物議をかもしました。本当にそんなことが言えるのでしょうか。
農村での証言者の一人、陳光hさんの母は、夫を日本軍に射殺され、山中に避難していた時に長男の嫁が産んだ赤ん坊は泣き声を日本軍に聞かれるのを恐れて土に埋め、さらに次男までも殺されて、次第に物を食べなくなり、半年後には亡くなったのです。
日中関係は、いまや「政冷」どころか「政凍」だと言います。その根底にあるのは、歴史認識の問題です。南京事件は世界中が認めている歴史事実であるにもかかわらず、いまだにそれを否定する言説がこの国では横行しています。こうした状況が続く限り、信頼と友好への道は遠いと言わざるを得ません。
南京事件という世界史的な事件に対する理解を、国民的常識としてゆくために、本書が広く読まれることを願っています。
(梅田正己)
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