「今年9月までの利用数は1万5000件ですが、融資総額はまだ算出できていません。この制度は昨年8月頃から始まり、2年間で終了する予定です。融資額は2年で90億円を予定しています」
---担保も保証人も不要となれば、融資の焦げ付きも予想される。その場合、だれが責任をとるのか。
「その場合は、厚労省の緊急人材育成・就職支援基金事業がフォローするという取り決めがなされています」
---それはつまり税金を使うのでは?
「そうなるかと思います」
---取材で、多重債務者でも審査に通っているケースが複数あった。きちんとした審査はできているのか。
「えっ? 日本労信協が厳正な審査をしています。多重債務者には貸し付けないと思うんですが・・・」
しかし、本誌の取材によれば、現に多重債務者にも融資は行われている。
この摩訶不思議な融資について、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は、こう言って呆れる。
「職の無い人におカネを貸して、保証人も担保も不要というのは金融業のロジックからは外れている。ここまで無茶な事業を続けていられるのは、結局、責任の所在が明確ではないからでしょう。これは、行政が管轄するどの事業にも言えること。こうした事業こそ、事業仕分けで切り込まなければいけない」
同融資制度は要するに、事故があっても、90億円もの予算をつけている国が尻拭いをしてくれるというワケなのだ。となれば、労金の担当者も目くじらを立てて審査をする必要はない。
貧困問題に取り組んでいる内閣府参与の湯浅誠氏はこう話す。
「社会的に弱い立場にある人たちにとっては、ありがたい制度だと思います。しかし現状のままでは、融資を受けているすべての失業者が"借り逃げ"していると誤解されてしまう。それは問題です」
責任の所在が曖昧なまま、杜撰な融資が垂れ流される。これが、民主党の掲げるセーフティネットのあり方なのか。
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