ハローワークで申し込める「杜撰なカネ貸し制度」15万~30万円を即OK!
ブラックリストに入っていても借りられた

2010年11月14日(日)
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●貸付利率は年利3%

●返済方法は、元利均等月賦償還。初回貸付日から5年以内に返済する

A氏は多重債務者のため、消費者金融の融資審査には通らなかった[PHOTO 三好健志]

 以上が融資の概要だ。そして融資利用者には、「返済が免除される条件」も用意されている。基金訓練の終了後6ヵ月以内に就職先が決まった場合、半額は返済しなくても良いのだ。

 ここまで見ると、求職者の能力開発を金銭的にも援助する制度で、社会的弱者を援助するセーフティネットとしては何ら問題はないようだ。しかしA氏は、審査の杜撰さに首をひねるのだ。

「サラ金だと年利は15%以上ですから、非常に低利だと感じました。実は、私は多重債務者なんです。何社ものサラ金からおカネを借りて返済が滞(とどこお)っている。個人信用情報のブラックリストにも載っていて、今はどこもおカネを貸してくれません。ところが、ハローワークでは審査に通った。いや、びっくりです」

 通常、消費者金融や銀行が融資する際、申請者が過去に、自己破産などの債務整理をしたり、延滞事故を起こしていないかを確認する。この個人信用情報が一般に「ブラックリスト」と呼ばれているのだが、複数社への返済が遅延しているA氏が、審査を通ったというのだ。

 本誌は、もう一人、審査に通った多重債務者B氏(44・愛知県在住)も取材した。独身のB氏は、自動車部品工場で派遣労働者として働いていたが、派遣切りで職を失い、今年の夏に基金訓練で不動産関係の学校に通った。A氏にこの融資制度を勧めたのがB氏だった。

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 同制度の申請の流れはこうだ。(1)ハローワークで申請書を受け取る。(2)申請書に氏名、生年月日などを記入し、運転免許証などの本人確認書を添える。(3)記入済みの申請書を最寄りの労働金庫の店舗窓口に提出する。(4)日本労信協で審査。(5)審査結果が出て、口座に振り込まれる。

 はたして、「訓練・生活支援資金融資制度」の審査は、厳正に行われているのだろうか。本誌はまず、労働金庫に問い合わせた。すると、「その件については管轄する厚労省の担当局に聞いてほしい」と、機械的に答えるばかり。そこで、厚労省職業能力開発局の能力開発課に問い合わせた。以下、一問一答である。

---利用者は現在、どれくらいいるのか。

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