経済の死角

ハローワークで申し込める「杜撰なカネ貸し制度」

15万~30万円を即OK!
ブラックリストに入っていても借りられた

2010年11月14日(日)
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A氏の融資申込書。15万円を2900円の56回払いで返済する内容

「失業中に、資格を取るための準備学校に通う制度の『基金訓練』を受講すると、生活支援給付金を受給できるんですが、実は、ハローワークに行くと、それに加えて、月に5万円を融資してくれる制度もあるんです。

 それが、不思議なことに保証人もいらないし、返済できなくてもペナルティーもない。ありがたいというか何ともオイシイ制度なんですが、審査はどうなってるんですかね・・・」

 こう話すのは、現在、求職中のA氏(38・愛知県在住)である。未曾有の不況の折、政府は様々な雇用対策を打ち出している。A氏のいう「基金訓練」もその一つ。

 基金訓練とは、受講生の収入制限などの条件付きで、パソコン教室などの受講料が免除される上に月々10万円の支援金が給付される制度。

 しかし、厚労省が業務委託している「中央職業能力開発協会」が認可した学校の授業を受けても、実際は就職に有利な国家資格が取得できるワケではなく、終了試験も行われない。そのため、給付金を受け取ることだけが目的のような生徒(失業者)たちで溢れかえっている。そして、収入制限の審査もザルに近い杜撰(ずさん)なもの---本誌はそんな実情をレポートした。

 そして今回、取り上げるのは、基金訓練を受ける受講生を対象にしたカネ貸し制度「訓練・生活支援資金融資制度」だ。これもまた、その内容に大いに問題アリなのである。冒頭で「オイシイ制度」と、苦笑したA氏が説明する。

「基金訓練では学校の授業料が免除された上に、生活支援金が月々10万円貰えます。でも、それだけで家賃などを捻出(ねんしゆつ)していくのは難しい。私は、授業後にコンビニなどでアルバイトをしていましたが、それでも足りなかった。そんな時にある友人に紹介されたのが、この融資制度だったんです。まず驚いたのは、保証人が不要だったことですね」

 そんな融資制度が本当にあるのだろうか。ハローワークによると、融資の内容は以下の通りだ。

●利用できるのは、基金訓練の受講生

●月額の上限は5万円(被扶養者なし)。基本的に、基金訓練の職業訓練学校の期間は3ヵ月なので、トータルで15万円を借りられる。初級コースを終えてさらに中級コースにも通った場合、同様に3ヵ月分の15万円も追加で借りられ、合計で30万円借りることができる

●融資金は、本人の口座に振り込まれる

●担保・保証人は不要。ただし、信用保証機関(社団法人日本労働者信用基金協会・以下日本労信協)を利用するのが条件となる

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