北方領土にロシア艦隊基地! 菅“ノー天気”訪露快諾

★加藤昭氏が極秘計画に迫る

2010.11.17


ウラジオストクの艦隊基地のような前線基地の青写真を描いていたのか【拡大】

 ロシアの許し難い極秘計画が飛び込んできた。日本固有の領土である北方領土を、ロシア太平洋艦隊の基地にしようというのだ。日露首脳会談では、メドベージェフ大統領が菅直人首相を軽くあしらうなど、同国の対日強硬・軽視路線は明白。菅首相は来年中に訪露、外交成果を得ようとしているが、相手は「北方領土、返還拒否」どころか、着々と自国領としての開発を進めようとしている。大宅賞ジャーナリスト、加藤昭氏は、菅政権の犯罪的ともいえる「無策外交」に迫った。

 「ロシア国内のどの地域を訪問するかは私自身が決めることだ。クリール諸島(北方領土のロシア名)は将来もロシアの領土だ」

 APEC(アジア太平洋経済協力会議)中の日露首脳会談で、メドベージェフ大統領はこう言い放った。菅首相の「(大統領の国後島訪問は)わが国の立場、国民感情からして受け入れられない」という抗議は、相手にされなかった。

 ここまでコケにされながら、メドベージェフ大統領から来年中の訪露を要請されると、菅首相は「招待に感謝する。検討したい」とばか正直に反応してしまった。外交センスのかけらもない。国辱ともいえる菅外交。こうした中、「ロシアが、北方領土を太平洋艦隊の基地にする計画がある」との情報が飛び込んできた。私(加藤昭)は、ロシア情報機関の幹部を直撃した。

 ――計画は事実か

 「そういう情報はある。ソ連時代からの悲願だ。最高権力者のプーチン首相は、軍と情報機関に『南下政策への備えをせよ』という指令を下した。大国ロシアとして『米中両国に太平洋で勝手にさせない』という決意だ。北方領土をロシア太平洋艦隊の基地にする可能性は十分ある」

 《北方領土・択捉島には、旧日本海軍連合艦隊のハワイ・真珠湾攻撃で出撃拠点となった単冠湾がある。ロシア太平洋艦隊は太平洋での作戦を目的にしているが、母港はウラジオストク。太平洋に出るには、日韓両国に挟まれた、宗谷海峡か津軽海峡、対馬海峡を通らなければならない》

 ――対日強硬・軽視路線の背景は

 「プーチン首相が練り上げた。『クリールは絶対に返還しない』というメッセージだろう。メドベージェフ大統領のクリール訪問も、ガスプロムの調印式キャンセルも同じ。権謀術数にたけたプーチン首相は、菅政権を翻弄しようとしている」

 《ロシアの国営ガス企業『ガスプロム』と日本政府がウラジオストクで計画していたLNGプラント建設事業について、ロシア側は10日、合意文書の調印式を突然キャンセルした》

 ――メドベージェフ大統領の国後島訪問について、日本のメディアは「次期大統領選を見据えたアピール」と報じた

 「まったく違う。メドベージェフ大統領はあくまで、プーチン首相の『パペット(=操り人形)』に過ぎない。再来年(2012年)の大統領選は、プーチン首相の単独出馬でほぼ決まり。メドベージェフ大統領がクリールで、イクラのサンドイッチを食べている映像があったが、まるでハイキング。ロシアの強いリーダーはあんなシーンは絶対に見せない」

 ――対日政策転換のきっかけは

 「9月の露中首脳会談で互恵関係発展が合意された。この席で、ロシアの東シベリア資源開発に、中国が資金を相当負担することが決まった。開発が悲願であるロシアと、ノドから手が出るほど資源が欲しい中国との利害が一致した。また、中国の釣魚島(日本名・尖閣諸島)、ロシアのクリールに関する主張を、両国は全面的に受け入れた。これでロシア首脳は強気になった」

 原油高を背景にロシアは高成長を続けている。これにGDP世界2位となった中国からの投資にもメドがたち、日本の資金援助は必要がなくなったということなのか。

 極東研究所日本センターのキスタノフ氏は「日本の対露投資は世界各国の中で10番目。日本が領土問題の対抗措置として、ロシアの地下資源や水産物の輸入を拒否しても、販売先は中国やASEAN諸国など数多くある」とウソぶく。

 ロシア大統領府の関係者も「日本が領土問題で譲歩する意思がなければ、わが国と交流する必要ない」と居丈高だ。

 北方領土周辺の資源への固執もあるという。

 ロシア有力紙「コメルサント」のミロスラフスキー記者は「クリール周辺には、石油や天然ガス、金、レアメタルなどの莫大な資源が眠っている。周辺海域での水産物水揚げも年間2000億円はある。『資源こそ国家』と公言するプーチン首相が“宝の島”を手放すはずがない」と語る。

 ロシアの攻勢に対し、菅首相は機密情報も外交カードも持たず、「ロシアのどこかで交渉・協議に入りたい」との意向を示した。このままでは「飛んで火に入る夏の虫」となるのは必至だ。

 

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