中国のハッカーがネットのトラフィック占拠

米政府からメール流出

 中国のハッカーが今年4月、全世界のインターネットのトラフィック(通信量)の15%を占拠し、米政府機関の電子メールが大量に流出していた事実が米政府の公式報告によって明らかになった。

 米議会の諮問機関、米中経済安保検討委員会(UCESRC)は17日、324ページから成る年次議会報告書を発表した。それによると、今年4月8日午前に米国の主要政府機関に送信された電子メールが中国のハッカーの手により18分間にわたり、中国の通信大手、中国電信(チャイナ・テレコム)のサーバーを経由して送られたという。

 同委は「インターネットのトラフィックが主に政府(.gov)や軍(.mil)といったドメイン名で選択的に乗っ取られ、上院、国防総省、商務省、内務省、陸海空軍、海兵隊、航空宇宙局(NASA)、海洋大気圏局(NOAA)などがハッキングの被害を受けた」と指摘した。また、マイクロソフト、IBM、ヤフーなどの情報通信関連企業の電子メールも被害を受けたという。デリケートな情報を取り扱う多くの政府機関や企業がハッキングに無防備な状態でさらされたことになる。

 同委は「米国のインターネットトラフィックが中国のサーバーを経由すると、効率的なルートを探していた世界各国のトラフィックが同じルートに集中し、全世界のトラフィックの15%が中国のサーバーを経由する結果となった」と説明した。

 同委関係者は18日、AFP通信に対し、「18分間にわたりインターネットのトラフィックを占拠すれば、連絡を取り合うすべてのメールアドレスを確保でき、情報を改ざんしたり、ウイルスを埋め込むことが十分に可能だ」と語った。

 同委は「中国の通信会社がハッキングした情報をどのように使用したかを判断するすべはないが、こうした事態は深刻な結果を招く恐れもある」と警告した。データ移動を妨害したり、インターネット利用者のサイト接続を阻むなど、利用者が意図しないところに情報を流出させることも可能なためだ。

 英紙デーリー・テレグラフなどは、中国のハッカーが電子メールで敏感な情報を入手したか、あるいは外国にあるサーバーからインターネットトラフィックに干渉するサイバー兵器を試した可能性があると指摘し、懸念が広がっていると伝えた。

 AP通信によると、中国電信は18日に声明を発表し、「いかなる形でもトラフィックの乗っ取り行為はなかった」と全面的に否定した。なおこれについて、中国外務省はコメントを明らかにしていない。

李泰勲(イ・テフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る