G20、APECという場で、国内反対派からの無言の圧力を背に受けながら、外国の圧力にも対抗していかなければならない胡錦濤総書記の胸中は決して穏やかではなかったと推測する。
インフレの昂進
さらに気がかりなのは中国国内のインフレ懸念だ。
北京の中国人民銀行〔AFPBB News〕
中国商務省によれば、11月上旬の全国36都市の野菜18種の平均卸売価格は年初比で11.3%、前年同期比で62.4%も上昇したという。
野菜だけではない。最近中国では豚肉、穀物、食用油など生活必需品が軒並み値上がりしているという。
例えば、武漢では半年前にキロ当たり11元だった豚肉が19元に跳ね上がり、瀋陽ではスーパーの食用油価格が10%前後値上がりしたそうだ。
日本人にとってはまだまだ安いが、1カ月数千元で生活する中国の一般庶民にとっては久しぶりの大幅値上げである。
野菜価格の上昇には、異常気象、生産・経営コストの上昇、野菜消費需要の高まりなど様々な原因があるが、特に問題なのは投機売買だという。
中国の研究者によれば、流通業者が生産者に支払う食料品仕入れ価格は昨年とほぼ同じだそうだ。やはり中国は変わっていない。
「インフレ=社会不安」という悪夢
今回の価格上昇が直ちにインフレに転化するかどうかの判断は難しい。しかし、中国の指導者ならば、1988年の厳しいインフレが翌年の天安門事件の引き金になったことを知らない者はいないだろう。
2009年10月まではマイナスだった消費者物価指数は11月以降徐々に上昇を始め、2010年5月には前年同月比3%を超え、7月以降は、3.3%、3.5%、3.6%、10月には遂に4.4%増となった。このままでは2010年の通年目標水準である3%を突破することは確実と見られる。
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