「菅原さんとは、今月末でお別れしなければなりません」
「なぜ?」
「滞在延長のためのビザ申請が拒否されて、帰国せざるを得なくなったのです」
「君だけ?」
「いえ、今後滞在期間は延長されないみたいで、今回は数名が私と一緒に帰国します」
ここまで聞けば、ロシア移民当局が中国人の帰国を促進していることは明確になる。この夏、ウラジオで聞いた不法滞在中国人労働者の追放と根は同じに聞こえる。
ウラジオの中華料理店は中国人の料理人が国に戻ってしまってから、食材も乏しくなり、味は落ちるし、あれだけ中国に近い場所にありながら、見るも無残な中華料理になってしまった。
モスクワから中華レストランが消えるのは時間の問題?
モスクワで圧倒的な店舗数を誇る和食レストランに比較して、中国人シェフがいないと成立しない中華料理店は本当に少数派、客数も比較にならない。不法移民問題が密接に絡むロシアの中華料理の将来は、かなり難しいものがある。
中国との関係を見直す風潮は、既に昨年からはっきりしていた。モスクワ市内にあった雑貨市場「チェルキゾフスキー」は2008年9月の当局による手入れを経て、2009年6月に完全閉鎖されてしまった。
閉鎖に至る過程ではいろいろと政治的な憶測もあり、本誌でも大坪氏が「超高級リゾートに腹を立てたプーチン首相」の中で詳しく紹介をされている。
中国からの密輸品を並べる市場だから、働いていたのも中国人が多く、一時はこの市場だけでも6万人を超えていたという。この市場で年間に販売される密輸品の総額は100億ドルを下らず、その70%は中国から運ばれたものだったという。
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