【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)=勝田敏彦】米政府は29日、「生命の設計図」である遺伝子について、特許として認定しない新見解を明らかにした。有用性があれば遺伝子の特許を広範囲で認める従来の政策は、高額のライセンス料などで医薬品やバイオ技術の研究開発を阻害することも懸念されてきた。今回の見解に基づいて政策が変更されると、自由な研究開発が加速されそうだ。
乳がんに関係する遺伝子と関連特許を巡る訴訟で、米司法省が裁判所に提出した書面で明らかになった。書面は「組み換えられていないDNAは自然の産物」として特許対象でないとし、それらの遺伝子を分離することも、発明にはならないとした。
今回の見解は、遺伝子特許を多数持つ米国のバイオ企業から反発を招く可能性がある。一方で、運用はやや異なるものの、やはり遺伝子を特許の対象にしている日本や欧州の知的財産戦略の見直しにつながる可能性もある。