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【コラム】

中日春秋

2010年11月19日

 「面白いジョークの多くは、葬式で聞いた」とは、確か、米国の名女優シャーリー・マクレーンさんの言葉だ

▼分かる気がする。厳粛であるべき時に厳粛でないことを言う。そういう、ある種の不穏当さがジョークの本質にはある。場を支配する空気や良識からはみ出した視点と言ってもいい。けれど、それも度が過ぎればシャレにならない。その加減が難しいところだ

▼さて、柳田法相が地元会合で語ったことに、野党議員らが激怒している。国会答弁について「法相は『個別の事案については答えを差し控える』『法と証拠に基づいて適切にやっている』の二つを覚えておけばいい」とやった、あの発言である

▼閣僚がそんなことを言うのは不穏当。良識を疑う。いや、まったくごもっとも。でも、法相はだからこそ言ったのではないか。「いつも誠心誠意答弁している」とでも言っておけば誰からもしかられない。けれど、嗚呼(ああ)、それではジョークにならぬ

▼結果から見れば、良識からのはみ出し加減が過ぎたか。でも、こういうことを言うのは不穏当かもしれないが、野党議員もジョーク一つにそれほど目くじらを立てることはない

▼ただ、国権の最高機関たる国会の討論が、現実に、あの“魔法の二言”で簡単に乗り切れてしまうようなものだとすれば、話は別。それなら確かにシャレにならない。あれ、もしや…。

 

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