●「ついで買いも減った」とコンビニ悲鳴
「ほら、やっぱりな」と言いたくなるような結果だ。日本たばこ協会が10月のたばこ販売実績を公表したが、前年同月比で69.9%もの大幅下落だったのだ。「値上げ前の駆け込み需要の反動」は、もちろんある。でも、深刻なのは「たばこ離れ」による消費低迷だ。
第一生命経済研究所が出したたばこ販売に関するリポートは、今年10―12月のGDPが、たばこ販売の大幅減少で0.6〜0.7%落ち込む可能性があると指摘した。
逆に、駆け込み需要によるGDP押し上げ効果は0.3〜0.4%しかなかった。ということは、マイナス効果がほぼ倍もあることになる。ザッと四半期だけでも差し引き5000億円のマイナスなのだ。
「さらに余波が大きい」とコンビニ関係者も嘆く。
「たばこと一緒にスナック菓子とかドリンクなどを購入していた人が、パッタリ店に来なくなっています。駆け込み需要や禁煙のせいで、たばこの販売減だけでなく、『ついで買い』効果も消えてしまったのです」
たばこの値上げ幅は110〜140円だった。販売数量が減っても値上げ分でカバーできると踏んでの増税だったのだろうが、GDPを下ブレさせては元も子もない。さらなる増税で「1箱600円程度」なんてふざけた話も出ている。“たばこ不況”を甘く考えていると、後でバカを見ることになる。
(日刊ゲンダイ2010年11月15日掲載)