政府が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の協議を開始する基本方針を決めたことを受け、県内の農業関係者から「関税が撤廃されれば、農村に壊滅的な打撃を与える」と懸念の声が広がっている。11日には県農協青年組織協議会が街宣活動を開始。県農業委員大会では「参加阻止」を訴える大会宣言が採択された。
同協議会構成員の花巻農協青年部は、花巻市野田の農産物直売所前で緊急街宣活動をした。職員ら6人がチラシとティッシュ計100セットを市民らに配った。五内川隆・営農振興課長は「生産者だけの問題ではない。花巻には農業関連企業もあり、地域産業にも影響する」と話した。
市内で米を主体に小麦など計約87ヘクタールを作付けしている農事組合法人「遊新」の高橋新悦組合長は「死活問題だ」と頭を抱える。今年は米価の下落で売り上げは前年比3割減になった。人件費の削減に努めているが、経営は「ギリギリの状態」だ。高橋組合長は「国にきちんとした農業政策があれば競争力はつくが、猫の目農政では生産者は対応できない」と批判する。
盛岡市永井の市都南文化会館では県農業委員会が開かれた。国・県に対する要請決議で「TPPは関税撤廃の例外を原則認めないものであり、断固阻止する」と反対を表明した。【湯浅聖一】
毎日新聞 2010年11月12日 地方版