2010年11月19日9時6分
ジュネーブ国際音楽コンクールで、優勝した萩原麻未さん(右)=前川写す
【ジュネーブ=前川浩之】ジュネーブ国際音楽コンクールのピアノ部門の決勝が18日夜開かれ、広島市出身の萩原麻未さん(23)が優勝した。同部門での日本人の優勝は初。その経歴などから、クラシック音楽マンガ「のだめカンタービレ」の主人公にも重ね合わされる新進気鋭のピアニストの快挙だ。
演奏したのはラベルのピアノ協奏曲ト長調。高度な技術と楽曲の深い理解が求められるが、滑らかにやわらかく弾きこなし、観客を魅了した。同コンクールは前回2008年、前々回05年は1位を出さず、評価の厳格さで知られるが、審査員を務めた岡本美智子・桐朋学園大教授によると、「天性の自然な音楽性と将来性を評価して満場一致の1位でした」。
萩原さんはフランス人ピアニストに見いだされ、広島の高校を卒業後、「のだめ」の主人公が留学したという設定のパリ国立高等音楽院に留学。今年6月、首席で卒業した。海外で才能を開花させたことや、形にとらわれない自然体での演奏ぶりなども「のだめ」に似ていると言われるゆえんだ。
本人は「のだめは好きですけど、私なんて、そんな全然違います」と謙遜(けんそん)気味だ。「いつもこれが最後と思って弾いています。緊張して、演奏後はどう弾いたか覚えてません。ツメもけがしてたし、終わるとくたくたで楽屋で寝ちゃいました」と話す。今後については、「私なりに納得のできる勉強をしていきたい」と語った。