2010年11月8日5時21分
JR大阪駅(大阪市北区)での待ち合わせ場所として親しまれてきた「巨大砂時計」が10月下旬、リニューアル工事の一環でひっそりと撤去された。なくなったのを知らない利用客の戸惑う姿が、今も後を絶たない。待ち合わせしにくい駅として知られる大阪の「顔」。来春完成する新駅で、汚名返上なるか。
11月初めの午前11時すぎ。兵庫県の女性(40)は、携帯電話を手に大阪駅中央コンコース南側付近をうろうろしていた。あったはずの砂時計がない。「最近、来ていなかったからびっくり。ずっと待ち合わせ場所にしていたのに」
周辺の柱数カ所には「お知らせ」の紙が張られていた。「10月25日をもちまして砂時計(サンドファンタジー)は大阪駅改良工事に伴い撤去いたしました」。だが、それに気づかず、砂時計を探し回る人の姿がほかにも見られた。
高さ7.2メートルで「世界最大級」をうたった砂時計は2003年4月、大阪駅ビルを運営する「大阪ターミナルビル」が約6千万円かけて作ったオブジェ。同社の担当者は「きちんと告知したかったが、砂時計の譲渡先が確定していないこともあり、申し訳ない」と説明する。
同駅は、大きな改札口が4カ所ある▽観光客が私鉄梅田駅と混同しやすい▽工事が多い――などの理由から、「待ち合わせしにくい」と不評だった。そんな中で梅田の「ビッグマン」「泉の広場」と並んで、比較的広く利用された希少な「待ち合わせスポット」が突如として消え、不満を訴える人もいる。
駅の工事でなくなったスポットはほかにもある。中央コンコース北側に置かれた「噴水小僧」は、04年に撤去された。
新生大阪駅は待ち合わせが便利な駅になるのか――。JR西日本は、南北の駅ビルをつなぐ連絡通路上の屋上部分にできる「時空(とき)の広場」をPRする。担当者は「金と銀の二つの時計を設置し、待ち合わせの名所になることを期待している」と話す。(宮崎園子)