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転換期の安保:宮古島に米艦初寄港 「中国シフト」封解く(1/2ページ)

 「船の入港時にはふ頭の入り口が通行規制され、物々しい雰囲気でした。労組を中心に60人くらいで抗議する中、米兵たちは車で街へ出て行きました」

 沖縄県・宮古島に住む連合沖縄宮古地域協議会事務局職員、下地徹さん(39)は鈍く光る船体が港に入る様子を鮮明に記憶している。

 9月21日、米海軍佐世保基地所属の掃海艦「ディフェンダー」(約1300トン、乗員約80人)が平良(ひらら)港第1ふ頭に接岸した。このころ、尖閣諸島沖の漁船衝突事件で日中関係は悪化の一途をたどり、検察当局は逮捕した中国人船長を起訴するかどうかギリギリの判断を迫られていた。米軍の船舶が沖縄の復帰後初めて宮古島に現れたのはそんな時だった。

 乗組員たちは企業経営者らと食事を共にするなど地元と交流を深めた。24日に船が島を離れるまで、乗組員たちは「NO BASE(基地はいらない)」などと書いたプラカードを持つ団体の抗議の中、気配りを示すように海岸を清掃した。

 在日米海軍司令部は寄港前、「友好親善が目的」と文書で発表していた。だが、ディフェンダーのアンドリア・スラウ艦長は入港時の記者会見で、日米同盟の揺るぎなき姿の誇示が寄港目的であると率直に語った。

 「寄港は日本防衛、東アジア地域全体の安定維持に対する米国の関与を実証するものだ。米海軍の継続的プレゼンスは、世界で最も大切な2国間の安全保障同盟に対する我々の関与の表れだ」

 寄港について、レイモンド・グリーン在沖縄米総領事は毎日新聞の取材に「漁船衝突事件とは無関係」と述べながらも「朝鮮半島や東シナ海など緊張が高まっている地域では航海の自由の原則がより大切になる」と、海洋進出を強める中国に対するけん制を忘れない。

 宮古島を含む先島諸島近海の「脅威」に中国が想定されていることは明白だ。4月、中国海軍の10隻が東シナ海中部海域で訓練を実施し、宮古島沖の宮古水道を抜け、日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)付近へ移動。7月にもフリゲート艦など2隻が宮古島近海で確認された。

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毎日新聞 2010年11月19日 2時41分(最終更新 11月19日 2時55分)

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