沖縄に駐留するアメリカ海兵隊の移転先となっているグアムで、地元の住民グループなどが、「移転計画に盛り込まれている実弾射撃場の建設は自然環境などに悪影響を与える可能性がある」として、アメリカ軍を相手取って建設の差し止めを求める訴えを起こしました。
沖縄に駐留するアメリカ海兵隊のうち8000人をグアムに移転する計画に伴い、アメリカ軍は、海兵隊が使用する5つの実弾射撃場をグアムのアンダーセン空軍基地の近くにおよそ4平方キロメートルの土地を収用して建設する方針です。この建設について、グアムで海兵隊の移転計画に反対している住民グループや文化財の保護団体などあわせて3つの団体が、17日、アメリカ軍を相手取って建設の差し止めを求める訴えをハワイの連邦地方裁判所に起こしました。訴えによりますと、実弾射撃場の建設は自然環境や周囲に多く残されている先住民の遺跡に悪影響を与える可能性があるにもかかわらず、十分な調査を行っていないなどとして、環境保護や歴史物の保存を定めた法律に違反するとしています。海兵隊のグアムへの移転計画は、日米両政府が沖縄の基地負担を軽減する手段として取り組んでいますが、裁判の行方によっては、移転計画の実行にも大きな影響を与える可能があります。これについて、今回訴えられたアメリカ軍の統合グアム計画事務所は「司法省が裁判を担当するためコメントできない」と話しています。