米原市の雑排水槽で交際相手の小川典子さん(当時28歳)を窒息死させたとして殺人罪に問われた森田繁成被告(41)の裁判員裁判の第8回公判が17日、大津地裁(坪井祐子裁判長)であった。前日に続く被告人質問で、被告は「彼女の命を返してほしい」と述べ、改めて無罪を主張した。
女性裁判員が「殺された小川さんをどう思うか」と質問。被告は、小川さんが鈍器で頭をめった打ちされ、息のある状態で雑排水槽に落とされたとされる残忍な手口に触れ、「なぜ、汚泥槽に落とす必要があったのか、何があってそこまでの犯行に至ったのか、犯人に問いただしたい」と答えた。また、捜査段階で供述調書の作成に応じなかった理由について、「記憶がしっかりするまで調書にサインするな、あとから修正できないと弁護人が言った」と訴えた。
被告を取り調べた主任検事の証人尋問もあり、弁護側が「逮捕後に何度も取り調べの録音録画を求めたが認められなかった」と詰め寄ると、主任検事は「録音録画は自白の任意性を公判で証明するもの。完全否認したり、黙秘したりしている場合は意味がない」と反論した。
18日は遺族への証人尋問がある。【加藤明子】
毎日新聞 2010年11月18日 地方版