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主任検事が供述の食い違い指摘 米原・汚水槽殺人公判

2010年11月18日

 米原市の汚水槽殺人事件の裁判員裁判は17日、逮捕直後に被告を取り調べた主任検事が証人として大津地裁に出廷した。捜査段階と公判での被告の主張の食い違いを指摘したが、被告は捜査段階の供述を「(捜査当局に)脅されて話した」と反論。訴訟指揮をめぐり裁判長と弁護人が口論する一幕もあり、張り詰めた空気の中で攻防が続いた。

 主任検事は、被告(41)の逮捕後、殺人罪で起訴するまで12回取り調べた。

 被告はこれまでの公判で、被害者で交際相手(当時28)が消息を絶った昨年6月10日午後9時ごろ、長浜市内で交際相手が被告の車を運転して走り去ったと主張。主任検事は、その後の被告の行動の説明が、捜査段階と異なっていると述べた。

 公判で、被告は歩いて車を捜し、約1時間後に元の場所で車を発見し、いったん帰宅。午後11時ごろ、車で再び捜しに出て、午前1時半か2時ごろ帰宅したと説明した。

 しかし、逮捕直後の取り調べでは、交際相手に置き去りにされた後、約2時間ほど捜し歩き、発見した車の中で1時間くらい待って午前1時ごろ帰宅したと話したという。また、交際を巡るトラブルについては一切話さなかったという。

 うつむいたまま黙秘することが多かった被告に、主任検事は「交際相手が亡くなっている。真犯人が見つかる手がかりになるのでなんでも話してほしい」と説得したが、応じなかったという。

 一方、被告は捜査段階の供述について「警察の取り調べで罵倒(ばとう)され、うろ覚えで話した」とし、主任検事についても「警察から『何を言っても死刑になる』と言われたことしか頭になく、警察にしたのと同じ説明をした」と話した。

■弁護人・裁判長の口論も

 「記憶テストじゃないですから肝心なことを聞いてください」「肝心なことを聞いております!」

 主任検事に対する尋問中、坪井祐子裁判長と女性弁護士との間で、訴訟指揮を巡りやり合った。

 尋問で弁護側は、捜査段階と公判の被告の供述に大きな食い違いがないことを立証しようとした。証言台の主任検事に対し、逮捕後の被告とのやり取りを約30分間、一つひとつ問うた。この間、裁判長が弁護士の質問を2度にわたり遮った。

 弁護士は質問の最後に裁判長に向かって頭を少し下げ、「こちらも一生懸命に尋問しております。つたないとは思いますが、尋問を妨害することはやめていただきたいです」と抗議。裁判長は「何のことをおっしゃっているのかわかりませんが、あと何分あるんですか。これで終わりですか」と応じた。

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