補正予算:成立へ暗雲 自民党の谷垣総裁が強硬姿勢

2010年9月21日 23時53分 更新:9月22日 1時13分

 21日に新内閣を本格始動した菅直人首相。景気の先行き不安が広がる中、当面の大きな課題が追加景気対策を盛り込んだ10年度補正予算の編成だ。衆参の勢力が逆転した「ねじれ国会」の下、菅首相は自民党や公明党など野党の協力を取り付け、秋の臨時国会で補正予算の成立を目指したい考えだ。しかし、自民党の谷垣禎一総裁は21日、就任あいさつに訪れた菅首相に対して「補正予算を巡る事前協議には応じない」との強硬姿勢を示すなど、菅首相の野党取り込み戦略には早くも暗雲が漂い始めている。【坂井隆之、野原大輔】

 「(補正予算の)内容や規模は、野党との協議も含めて定まってくる」--。野田佳彦財務相は21日の閣議後会見で、野党側の意見を最大限尊重する姿勢をアピールした。

 菅首相にとって、景気回復と雇用拡大は最優先課題。政府は9月10日に「3段構え」の経済対策を決定。家電エコポイントの延長など予備費の活用による約9150億円の財政支出を決めたうえで、補正予算の編成による追加対策を打つことを目指している。

 ただ、自民党や公明党など野党の協力なしには補正予算の早期成立は不可能だ。このため菅首相は、野党との協議の中で補正の時期や規模を詰めていく考えを強調。自民や公明など各党はすでに補正予算を前提とした独自の経済対策を提案しており、菅首相は「野党との合意形成の可能性は十分ある」ともくろんでいる。菅首相としては、景気下支えを名目にすれば、同意を求めやすい補正予算をきっかけに、ねじれ国会を乗り切るために不可欠な野党との政策協議の場を作りたいとの思惑もある。

 しかし、21日に景気対策への協力を呼びかけた菅首相に対する自民党の谷垣総裁の対応は冷ややかだった。「われわれの案を生かしてもらうのは歓迎だが、与野党の緊張関係もある」と発言。国会論戦で自らの政策実現を迫っていく考えを示した。

 谷垣総裁は与党との関係について「国民生活のため協力すべきところは協力する」と柔軟な姿勢も見せていた。しかし、自民党内には「一刻も早い衆院解散・総選挙を」との声も強く、臨時国会を前に「事前協議には乗れない」と菅政権との対決姿勢を強調した形だ。

 事前協議なしに政府・与党が補正予算案を国会に提出したとしても、野党との妥協が図れるかどうかは不透明だ。自民党や公明党は経済対策案で、1兆円規模の建設国債の発行を盛り込んでいるのに対し、野田財務相は「基本的には新たな国債発行は望ましくない」との立場。さらに、自民党は、経済対策案の中で「民主党マニフェスト(政権公約)施策の執行停止で7000億円を捻出(ねんしゅつ)する」と、揺さぶりをかけている。

 野党案に対する大幅な妥協は、与党内の反発を生む可能性もあり、菅首相は党内情勢もにらみながらの調整を迫られている。

top
文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

アーカイブ一覧

 
共同購入型クーポンサイト「毎ポン」

おすすめ情報

注目ブランド