宮崎市の自宅で生後5カ月の長男と妻、義母を殺害したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職奥本章寛(あきひろ)被告(22)の裁判員裁判初公判が17日、宮崎地裁(高原正良裁判長)であり、被告は起訴内容を認めた。
裁判員裁判で審理される殺人事件では被害者の数がこれまでで最も多く、検察側が死刑を求刑する可能性もある。争点は量刑。25日の第6回公判で結審し12月7日に判決が言い渡される見通し。
冒頭陳述で検察側は、奥本被告は車のローンや育児費用などで生活が困窮し、義母からたびたび叱責(しっせき)を受けたことから憎悪の念を抱いて殺害を決意、妻や長男も疎ましく思い殺害したと指摘。「パチンコや出会い系サイトで知り合った女性と自由気ままに遊びたいという身勝手な動機から犯行に及んだ」と主張した。
犯行後も、強盗犯による被害と見せ掛けて110番するなど偽装工作をしたとして「計画的で悪質。遺族の処罰感情は非常に厳しく、極刑を望んでいる」とも述べた。
弁護側は「被告は明るくまじめな人だが、日ごろから義母に怒鳴られるなどして家に居場所がなかった」と説明。「離婚も考えたが、義母から高額な慰謝料を請求すると言われ、自由になるには3人を殺害しなければいけないと考えるようになった」などと訴えた。
起訴状によると、奥本被告は3月1日午前5時ごろ、自宅で長男の雄登(ゆうと)ちゃんの首を絞めるなどして殺害。妻くみ子さん=当時(24)、義母の池上貴子さん=同(50)=の頭をハンマーで殴るなどして殺害し、雄登ちゃんの遺体を資材置き場に埋めたとされる。
=2010/11/18付 西日本新聞朝刊=