2010年11月18日23時32分
三重県四日市市のスーパーで、窃盗の容疑者と間違われた男性(当時68)が警察官に押さえつけられた後に死亡したのは、違法な制圧行為が原因だったとして、男性の妻(70)が三重県に5700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、津地裁であった。堀内照美裁判長は原告の訴えを一部認め、880万円の支払いを命じた。
判決では、手錠をされた男性が逃走する危険性は低かったことや、署員が体力的に優位だったことを指摘。制圧行為を「相当な限度内と認めることはできない」として違法性を認めた。
一方、制圧行為の翌日に死亡した男性の死因はストレスによる心不全と認定。女性に「泥棒」と叫ばれたことや、一般人に取り押さえられたことを重視し「制圧行為がなければ、心不全が生じなかったとまではいうことができない」と結論づけた。
判決などによると、男性は2004年2月17日午後、大型スーパーの現金自動出入機(ATM)近くで、若い女性に「泥棒」と叫ばれ、別の買い物客らに取り押さえられた。店にいた四日市南署員2人がかけつけ、体重94キロの署員が約20分、うつぶせの男性に馬乗りになって押さえた。男性は意識を失い、翌日死亡した。
三重県警監察課は「判決内容をよく検討し、今後の対応を決めたい」とコメント。原告側の成田清弁護士は判決後、男性の妻の「事件の真相がある程度明らかになり、夫の名誉も少しは回復されたのではないか。控訴については現時点では(コメントは)差し控える」との文面を読み上げた。(伊沢健司)
「ジャンボ機が消えた」「御巣鷹山に登れ」。想像を絶する膨大な犠牲者、奇跡的な4人の生存者、混乱する情報…。航空史上最悪の惨事を当時の朝日新聞はどう伝えたのか。