絶対負けられない都知事選挙 出馬をめぐる争いが始まった
2010年11月18日 週刊文春
来年四月に全国各地で行われる統一地方選の中でも、東京都知事選は、民主、自民両党が絶対負けられない「天王山」。当面の焦点は自公が支援する現職の石原慎太郎知事が四選出馬するかどうかだ。過去三回とも大勝している選挙上手の石原氏も七十八歳。参院選前までは「俺の任期は来年四月まで」と親しい国会議員らに淡々と語っていた。だが、ここにきて俄然やる気を見せているという。自民党関係者が指摘する。
「尖閣問題で完全にスイッチが入った。知事を続けたいというより、保守派の代表として引退するわけにはいかないという気持ちらしい。当然、息子の石原伸晃幹事長は先刻承知。その証拠に十月の日本記者クラブでの講演で『家族的にはそろそろ辞めてもらいたいが、こんな時代だからこそ、また存在意義が増してきている』と語った」
この講演で伸晃氏は「新党改革の荒井広幸幹事長から『舛添要一代表は間違いなく都知事選に出る』と聞いた」と爆弾発言もしている。その狙いはズバリ、親父のライバル潰し。この段階で名前が出れば、舛添氏は否定せざるを得ないと読んで仕掛けたのである。舛添氏は「そういう話をしたことは一切ない。嘘つきだ」と激怒したが、火のないところに煙は立たない。
民主党の選対関係者はこんなシナリオを口にする。
「都知事候補として党内で名前が出ているのは蓮舫行政刷新担当相と海江田万里経済財政担当相、小宮山洋子厚労副大臣の三人だが、いずれも消極的。そもそも、うちの首脳陣は民公連携をにらんで、できれば公明党も乗れる候補者が望ましいと考えている。そのためには民主党色が強くない方がいい。公明党と話がつけば、舛添氏を担ぐ可能性もなくはない」
最近の舛添氏は民主党批判を控え、審議中の補正予算案に賛成する可能性を示唆している。また公明党にも「法案提出で協力できるかもしれない」と秋波を送っている。参院の公明党十九人に新党改革の二人が加われば、予算を伴う法案の提出権(参院では二十人以上)を得られるからだ。
さらに出馬を狙っていると噂されるのは、舛添氏の東大時代の同級生で、九九年の都知事選にも出た無所属の鳩山邦夫衆院議員。肉親とは思えないほど強烈な批判を見舞っていた兄・由紀夫前首相と最近ヨリを戻したのも、あわよくば民公推薦で出馬と夢想しているからかもしれない。
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