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裁判員 被告に初質問/米原殺人

2010年11月17日

 米原市の汚水槽殺人事件の裁判員裁判は16日、大津地裁で第7回公判を迎え、市民から選ばれた裁判員が初めて被告に質問を投げかけた。無実を訴える被告とのやりとりを通して、どんな心証を得たのか――。

 殺人罪に問われた森田繁成被告(41)は、黒のスーツ姿で証言台のいすに腰を丸めて座っていた。

 「裁判所から質問があります」。検察、弁護側の被告人質問を終え10分間の休廷後、坪井祐子裁判長が裁判員に質問を促した。左の中年の男性裁判員が口を開いた。

 検察側は、殺害された交際相手の小川典子さん(当時28)が消息を絶った昨年6月10日までの3日間、被告は小川さんに1日21〜34回のメールを送っていたが、翌日の11日は2回に激減していたことを指摘。「被告は小川さんの死を知っていた」と主張している。男性はこの点を被告にただした。

 男性 11日のメールについてお聞きします。小川さんに朝に「おはよ」と送っていますね。

 被告 はい。

 男性 午前11時44分に「休みなんか」と送ってますね。

 被告 はい。

 男性 小川さんから返事がないときは後で必ずメールを打たれているが、11日だけそういうパターンがなかった。

 被告 電話もかけたがつながらず、怒っていると判断しました。

 検察側は、11日の2回のメールは、小川さん殺害の犯人ではないことを装う「カムフラージュ」と主張しているが、弁護側はこれを否定している。男性は被告の表情を真っすぐに見据えながら、質問を重ねた。

 ほかに2人の男性裁判員も小川さんとのメールのやりとりなどについて質問した。

【検察側の主張を被告は次々否定/審理延長 10日間に】

 被告は浮気を疑う小川さんとの間で深刻なトラブルを抱え、不倫関係を暴露されかねず、何かのきっかけで怒りが爆発する状況だった――。そう主張する検察側は、被告人質問で被告が事件前に小川さんに繰り返し送ったメールを示し、被告の当時の感情について尋ねた。

 「バカにしてるんか。なんで留守電なんや」「おれを裏切ったな」

 検察官 非常に怒っているのでは。

 被告 激しくは怒っていません。その後、すぐに仲直りしてます。

 被告は検察側の主張を次々に否定していく。これに対し、検察側は被告が事件後、インターネットで事件に関する閲覧を86件重ねていたと指摘した。

 地裁はこの日予定していた主任検事への証人尋問を17日に延期。これに伴い、予備日の18日に被害者遺族への証人尋問を行う。結審までの審理日数は10日となり、判決までの日程が過去最長の鹿児島地裁の強盗殺人事件の裁判員裁判と並んだ。

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