第六話 「 我 侭 」
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Tea time.6
To know the truth, I learnt my foolishness.
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「わたしは、我侭かな」
「何故、そう思われるのですか?」
「だって、わたしは与えられてばかりだもの。それに甘えて、貴方……だけでなく、他の給仕、メイド達を、いつも困らせてる」
「我々は、お嬢様の生活を守り、助け、喜んで頂く事で賃金を頂いているのです。ならばそれは、お嬢様の持つ当然の権利ですよ」
「でも、普通の家庭の女の子に比べたら、我侭でしょう?」
「……我侭というのは、自分の立場、器以上を望み、それにより他者に迷惑をかけることだと私は思います。
もし、それでも欲するなら、相応の努力をしなければなりません。立場に差こそあれ、それが出来るか出来ないか、ですよ。
もっとも、『贅沢』と称されることは、否定いたしませんが。それに……」
目を伏せ、穏やかに笑う執事。
それは、確かに少女の悩みを子ども扱いしての笑いだ。
――でも、不快に思えないのは、それが少女の成長を感じた喜びでもある為で――
「それに?」
「私達は皆、賃金、主従だけでなく、純粋にお嬢様に喜んでいただきたくて、ここにいます。
そのための行為を、迷惑をかけていると思われることこそ、おそらくは不本意かと」
「そうなのかな……」
(自分にそれだけの価値があるのだろうか。
貴方がわたしにくれる、この暖かいものに吊り合うだけの――)
「ねぇ、最後に、ヒトツだけ聞いてもいい?」
「なんでしょう」
「貴方にずっとそばにいて欲しい……って、我侭になるのかな?」