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2010年 夏休み記念ギャグLAS短編 新石器エヴァンゲリオン
※この作品はおバカなギャグ作品です。



<紀元前7777年 ねるふ村>

ここは人口100人ぐらいで10軒ぐらいの家が立ち並ぶねるふ村。
山に囲まれた盆地にあって、人々は小さな麦畑を作り、ブタを何頭か飼ってつつましく生活している。
しかし、それだけでは食べていけないので、たまには村人達で動物を狩ることもある。

「よおシンジ、イノシシの一頭でも狩る事が出来たか?」
「無理無理、臆病なコイツにはウサギ一羽だって狩る事はできないさ」

家の前で土器を作っていたシンジは、同い年の少年のトウジとケンスケにいつものようにバカにされてしまった。
シンジは悲しそうな顔をしてうつむいているだけ。

「やーい、やーい、弱虫シンジ」
「悔しかったら俺達にかかって来いよ!」

からかうトウジとケンスケの二人に、高速で飛行する金色の物体が接近し、吹き飛ばした。

「アンタ達、またシンジをいじめているのね!」

後頭部にキックを食らわされたトウジとケンスケは痛そうに起き上がると、アスカをにらみつけた。

「あかん、こら退散や!」
「覚えてろ!」

アスカに口でも手でも敵わないと知っているトウジとケンスケは、捨て台詞を吐いて、走り去った。

「シンジはアタシが守ってあげるからね!」
「ありがとうアスカ」

アスカは母親のキョウコと一緒に生き倒れになりそうな所を、シンジに助けてもらった後にずっとシンジに懐いているのだった。

「あの時のハンバーグおいしかった、また食べたい~」
「今度ブタを潰せるのは来月になりそうだから、それまで我慢してよ」
「じゃあ、土器ばっかり作っていないでさ、外に遊びに行こうよ」
「でも……」

そんな2人の所に、シンジの母親であるユイがやって来て、外に出る事を許してくれた。

「シンジはいつまでたっても一人前の狩りが出来ん。族長の息子として情けない限りだ」

家の奥から出て来たゲンドウは、シンジの姿を見送るとそう言ってため息をついた。

「シンジは弱いんじゃ無くて、優しい子なんですよ」
「アスカ君と遊ぶ事で、シンジがたくましくなると良いのだが」

その日もシンジはアスカに野山を日が暮れるまで連れ回された。
そして、いつもと変わらない夕食を食べていると、シンジ達の家にミサトが飛び込んで来た。

「大変です、族長! 5mを超す巨大マンモスが村に向かってきています!」
「ミサト君、君は酔っているんじゃないのか? そんなマンモスがいるわけ無いだろう」
「それが本当なんですよ、族長!」

家の外から悲鳴があがり、ゲンドウも信じないわけにはいかなくなった。

「ねるふ村の守り神『エヴァンゲリオン』を起動させるしか、村を救う道はあるまい!」
「あなた、本気ですか!?」

ユイが止める間もなく、ゲンドウは家を出て行き、村人たちを広場に集めた。
村の神殿の中にある巨大な石像『エヴァンゲリオン』の存在は村人の誰もが知っていた。

「エヴァンゲリオンを目覚めさせるには少女の生贄が必要なのだ」

ゲンドウがそう言うと、村人達は静まり返った。
ユイがエヴァの起動を止めた原因はそこにあった。

「……私が行きます」

そう言って名乗り出たのは、レイだった。
しかし、アスカが慌てて止めに入る。

「アタシが行く! アタシはこの村に流れ着いたよそ者だから!」
「私が死んでも、シンジ君の側にはアスカがいるもの」
「レイ……もしかしてアンタもシンジの事が好きだったの!?」
「……さよなら」
「待つのだ!」

そう言って生贄になろうとしたレイを止めたのは村の長老のコウゾウだった。

「まだ最終手段……目覚めの舞が残っているぞ」
「分かりました、長老!」

ゲンドウとコウゾウは来ていた毛皮の服を引きちぎり、産まれたままの姿になると、エヴァンゲリオンの前で奇声を上げて踊り出した!

「ウホホホー!」
「ウホホホー!」

その様子を固唾を飲んで見守る村人達。

「キェーイ! ウッホ、ウホホホ、ウホウホ、ウッホ!」
「ウホホホーイ!」

踊っているゲンドウの表情がウットリとしたものになって居て、トランス状態になってきたようだった。

「エ、エ、エヴァンゲリオン! ウホホホ、ウホホホー!」
「ウホホホーイ!」

すると、ゆっくりとエヴァンゲリオンが動き出した。
村人達から歓声が上がる。
起動したエヴァンゲリオンは、目から光を放つと、足元で踊っていたゲンドウを思いっきり蹴り飛ばした!

「ウホーーーッ!」
「ウホーーーッ!」
「あなたーーーっ!」
「長老ーーーっ!」

蹴られたゲンドウとコウゾウは星空の彼方へと消えて行った。
エヴァンゲリオンはうなり声を上げながら村に近づいて来たマンモスに突撃する!
マンモスと組み合ったエヴァはそのままマンモスの体に食らいついて食べ始めた!

「暴走!?」

その戦いぶりを見ていたミサトがそう叫んだ。
マンモスを食らい尽くしたエヴァは、やがて動きを止めた。
こうしてネルフ村の危機は去ったのだった……。



次回予告

平和の訪れたねるふ村に、ぜーれ村の9体のエヴァンゲリオンが襲いかかる。
族長のゲンドウが不在の中で、ねるふ村の人々は全面降伏しか道がないのか?
次回、第二話「ゼーレ、族長の座」でサービス、サービス!

※多分続きません。