【北京=古谷浩一】中国の民主活動家の女性がインターネット上で反日デモを促す書き込みをしたことで、公安当局に拘束され、1年間の労働教養所送りの決定を受けたことが分かった。女性がノーベル平和賞に決まった劉暁波(リウ・シアオポー)氏らの起草した「08憲章」に署名していたことなどが関係したとみられている。
ペンネーム「王訳」で知られる程建萍さん(46)は、約30万人の乳幼児に被害を出したメラミン入り粉ミルク事件で被害者の人権を訴える活動をしてきた。江蘇省で10月28日に拘束。15日に、労働教養所で1年間の強制労働につかせるとの決定を受けた。
程さんの婚約者でともに活動を進めてきた華春輝さん(47)によると、当局側は程さんが10月17日にネット上で上海万博の日本館への反日デモ呼びかけに対して「憤る青年は突っ込め。早く行って壊してしまえ」と書き込んだことを問題視。これが「大規模行事の秩序を乱す」との処罰対象になったと説明したという。華さんも一緒に拘束されたが、10日後に釈放された。
ネット上にはこうした発言は多数あり、華さんや関係者は、2人が人権活動を行い、劉氏の受賞決定を受けて仲間内の祝賀会を開いていたことなどから、当局が拘束の「口実」を探していたと見る。華さんは「我々は反日デモに対し、あまりにも野蛮で粗暴だと怒りを感じていた。書き込みは風刺であり、日本への反感はない」と語る。
2人は10月28日に結婚する予定だった。華さんは「たった一言の書き込みを理由にこのような処罰を下す。これだけでも彼ら(中国当局)の本当の顔がはっきりと分かるだろう」と悔しげに話した。
程さんは16日、体調を崩して病院に運ばれた。抗議の絶食を始めているという。