2010年10月24日3時3分
米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の騒音被害が深刻化している。沖縄本島中部にある米空軍嘉手納基地(嘉手納町など)の滑走路の改修工事に伴い、代替滑走路の役割を担うことになったためだ。10月初旬には、同基地所属のF15戦闘機が普天間飛行場に飛来した際の騒音が過去5年間で最大を記録。普天間飛行場の移設問題の先行きが見えない中、基地負担の重圧に地元から抗議の声があがる。
123.6デシベル――。今月5日午後2時ごろ、普天間飛行場の南端に接する宜野湾市の上大謝名地区でこの5年間で最大の騒音を記録した。「ジェットエンジンのすぐ近くの騒音」のレベルとされる120デシベルを超える「爆音」だ。
宜野湾市によると、2機のF15戦闘機が南側から高度を下げつつ接近。滑走路上を低空で飛行しながら急上昇して飛び去ったという。地面すれすれまで降下し、着陸せずに飛び去る「ローアプローチ」と呼ばれる訓練とみられる。
嘉手納基地では10月から2本ある滑走路の改修工事が始まった。1本ずつ交互に実施されるため、2012年3月まで常時使える滑走路は1本。在沖縄米空軍は「工事終了までの間、所属する戦闘機が緊急避難的に普天間を使う」と発表している。
宜野湾市によると、普天間周辺では9月22日から10月21日までの間、戦闘機の飛来とみられる100デシベル超の騒音が41回も観測された。4月以降で、100デシベル超の騒音は多いときでも月に20回程度だったといい、市の担当者は「普天間には岩国基地(山口県)や在韓米軍所属の『外来戦闘機』が飛来していたが、さらに嘉手納を補完する機能が加わった」と話す。県基地対策課が米軍に問い合わせたところ「(緊急避難ではなく)訓練の一環だ」と説明されたという。