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慰安婦問題・三鷹パネル展の報告 [元「慰安婦」問題]

「慰安婦」問題三鷹パネル展の報告 

    
1)三鷹パネル展のこと
 8月1日~3日の三日間、三鷹市市民協働センターで、「親子で学ぶ「慰安婦」展」が開催され、講演と三鷹市議会意見書採択の報告、戦争体験のお話、「慰安婦」問題の映画の連続上映などが行われました。
 開催前から、また開催の三日間とも、右翼団体「在日特権を許さない市民の会」(以下:在特会)による三鷹パネル展への妨害がありました。集会破壊を目的とした在特会メンバーの入場は断ったため協働センターの入り口でもめていたこともあり、会場まで来ても引き返す人もたくさんいましたが、パネル展は成功し、三日間とも100人を超える参加者がありました。様々な支援もあり、成功裏にパネル展を開催することができました。
 8月1日は、Wam事務局長の渡辺美奈さんが講演しました。「慰安婦」問題解決を要求する最新の国際的動きの紹介や、右翼的な宣伝に影響を受けた学生との意見交換の経験などを報告されました。また、ロラネットから、三鷹市市議会での「慰安婦」問題の解決を求める意見書採択にいたった経緯を報告しました。
 8月2日は、二人の方から戦争体験のお話を聞きました。
 8月3日は、「2000年女性国際戦犯法廷」や「慰安婦」問題についてのビデオなど数本を上映し、参加者でフリートーク、意見交換しました。
 開催前から右翼の妨害が予想されたため、いろんな団体・個人に参加を呼びかけましたし、いろんなところで注目されたこともあって、期待以上に多くの参加者がありました。三鷹市で開催しながらも、全国的な課題であることをあらためて認識することになりました。
 会場周辺での騒ぎが大きかったため、「親子で学ぶ「慰安婦」パネル展」という当初の目的からすれば、誰でも入れる状況には必ずしもならず、この点は残念でした。
 しかし、成功裏に開催できたことによって、妨害があろうと断固やりぬくというわたしたちの姿勢を示すことができましたし、ロラネットとしては今後も引き続き活動しようと決意を新たにしています。

2)「慰安婦」問題のこれまでの経過 
 「在特会」による妨害の一因は6月23日、日本政府に対する「慰安婦」問題の解決を求める意見書が三鷹市市議会で採択されたことにも関係しています。
 「慰安婦」問題は、1990年代から各国の被害者が裁判に訴えて解決を求めてきましたが、「時効」と「国家無答責」(国家賠償する法律がない)ことを理由に、中国・海南島被害者裁判を残して、その請求はことごとく棄却されており、日本の司法には解決する意思も力もないことがすでに明らかとなっています。
 そのため、被害者や支援者団体は、「慰安婦」救済のため新立法による解決を共通の目標として掲げています。その目標の早期実現を求め、2008年から宝塚市、札幌市、清瀬市など、地方議会での「慰安婦」問題解決を求める決議が採択されてきました。これは「慰安婦」問題の運動のなかでの新たな動きなのです。立法解決を実現するため、各団体が自分たちの住んでいる市町村で、「慰安婦」問題の解決を日本政府に要望する決議をあげ、新たに世論を喚起し運動をひろげてきているのです。
 ロラネットは、この動きに共感共鳴し、三鷹市議会での「意見書採択」を取り組み、今回の採択にまでいたりました。「慰安婦」問題パネル展の企画は、この一連の運動をさらにすすめようとのなかで企画されました。

3)在特会による妨害
 ロラネットはこれまで10数年前から数度にわたり、三鷹市市民協働センターでフィリピン元「慰安婦」のおばあさんたちを招いて催しを行ってきました。これまで何の問題も起きていません。
 ところが、今回のパネル展を在特会が聞きつけ、同じ日に彼らの企画をぶつけることを、三鷹市市民協働センターに要求してきたのです。目的は妨害であり、かれらこそ「混乱」の原因です。
 在特会は、「慰安婦は売春婦だ!」と主張し、日本軍による「慰安婦」強制連行、性奴隷制への関与を否定し、日本政府・日本軍の責任を免罪しています。歴史事実の歪曲にほかなりません。そればかりか「売春によって金儲けした」などと被害者個人へ非難を集中し、人権を踏みにじる主張をしています。特に朝鮮人・韓国人に対する根拠のない非難、民族差別をあおっているところに一つの特徴があります。
 在特会との交渉の際に三鷹市は、このような人権を踏みにじる団体を三鷹市市民協働センターの登録団体として認めてしまい、またロラネットが申請していたロビーの使用を認めない決定をするなど、間違った対応をしました。このことに対しロラネットはすでに三鷹市に抗議文を送り抗議しています。
 ただ、企画を成功させることが大切と考え、ロラネットは当初予定していたロビーではなく会議室を新たに借りて、パネル展を開催することにしました。当初一週間を予定していましたが、責任もって開催するため、開催期間を三日間に変更しなければなりませんでした。

4)在特会とは
 在特会(代表:桜井誠)は右翼団体としては新しく、右翼団体のなかでもいまだ確固たる地位を確立していないようです。この団体の特色は、ネットを媒体に宣伝をしていて、若い世代に影響を及ぼし影響・支持を拡大することを、自身の特徴としているようです。
 ネットで呼びかけるのでいつも集まるメンバーは必ずしも一定しているわけではなく、流動的です。参加者は「街宣車」で行動するわけでもありません。個々に見れば、おとなしい普通の人、ネットで結びついた浮動層というイメージです。
 どちらかといえば言えば、メンバーは派遣社員など不安定で低賃金労働者であり、職場や地域で孤立した人が、自身の不安・不満な生活を、ネットでより弱い者に対する批判で、確認しあってつながりをつくっているように見えます。
 格差社会日本では、年収200万以下の人がすでに2000万人を超えており、特に若い世代で急増しています。この人たちは孤立しているし、社会的にはいわば「見棄てられて」います。そのなかの一部の人が、自分たちの不満をより弱い立場の外国人、不法滞在者、「慰安婦」などを非難して集まっているというのが実情のようです。
 したがって「慰安婦」問題おいても、このような人たちへどのような手段や関係を通じて訴えていくかは、パネル展とは別に、今後わたしたちが考えなければならないことです。右翼団体の代表に対してというより、その影響を受けつつある人たちへの発信こそ重要です。
 今回の企画では、妨害から防衛するような形になったため、会場外で在特会が一方的にマイクで宣伝することになってしまいました。

5)今後のこと
 8月1日~3日の三日間の集会では、参加した人たちとのあいだで交流を深めました。自分の住んでいる市で「慰安婦」問題の解決を要望する市議会決議をあげさせたい、という人もいました。政権交代した今、地方議会決議をあげていくにはよりよい条件がうまれています。ロラネットの経験を踏まえ協力・連携した活動を広げることができます。
 「慰安婦」問題で今回のような企画を行えば右翼から妨害があるという日本社会の現実を、あらためて思い知ることになりました。右翼の妨害があったため大変でしたが、いろんな団体とともに運動の方向や目標においてわたしたちは図らずも一致結束して活動することができました。その点では、非常によかったと思っています。右翼の妨害にも負けずパネル展を開催できたことは、大きな成果です。ロラネットだけではなく、「慰安婦」問題の解決のために活動するすべての団体にとって、大きな成果、自信になりました。
 民主党政権に交代した今、地方・地域における運動を広げるとともに、わたしたちの力を全国的に結集し一つの力にまとめて、国会での被害者証言の公聴会、国会での謝罪決議、立法解決にすすまなければなりません。
 わたしたちの運動のやり方や方向は間違っていないこと、さらに幅広くこの問題を広め、立法解決にまですすまなければならないことを、あらためて確信しあったのではないかと思います。(文責:玉)

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