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女性の就労を支援する「女性と仕事の未来館」が、事業仕分けで「廃止」…

 ◆女性の就労を支援する「女性と仕事の未来館」が、事業仕分けで「廃止」と判定されました。

 ◇「自治体と事業重複」指摘 国は「ノウハウ指導する役割」強調

 行政刷新会議による5月の事業仕分け第2弾で、厚生労働省所管の「女性と仕事の未来館」(東京都港区芝)が「廃止」と判定された。同省は「女性の就労支援の拠点」と位置づけてきたが、仕分け人からは「国が実施する意味を感じない」などと厳しい評価が相次いだ。関心の深い人には便利な施設でも、一般の人の利用にまでは広がっていない点が問題視されたようだ。

 6月中旬、女性と仕事の未来館には東京家政学院大学の学生18人が訪れていた。

 「大正時代にタイピストなど新しい仕事に就いた女性は『職業婦人』として脚光を浴びました。でも、女性が働くことへの偏見もありました」

 明治の「女工哀史」の時代から現代まで、女性と仕事を巡る社会の移り変わりを示す展示コーナー。時折メモを取りながら係員の解説に耳を傾けていた斉藤安奈さん(20)は「女性が近代化を支えて今の日本につながったことが分かった」と話した。長井真奈美さん(20)も「生活とのかかわりの中での移り変わりを理解できた」と好意的だ。

 学生たちは、同大の藤掛洋子准教授の講義の受講生。藤掛さんは「歴史の中の働く女性を総合的に学べる」と考え、05年から講義で教えたことを学生に確認してもらう場として活用している。

 同館は歴史展示のほか、女性の労働に関する5万冊の蔵書、旧労働省設立(47年)以来の行政資料をほぼ網羅している。地方自治体やNPO向けなどの研修、一般向けの相談窓口やセミナーも開催しており、09年度の相談件数は5381件、セミナー受講者数は5088件に達する。今年度のセミナーでは、女性が正社員になるためのキャリアアップ支援や、シングルマザー向けに仕事と子育ての両立の仕方を学ぶグループカウンセリングなどを実施している。

 それでも、仕分け人の評価は「地方自治体や民間でも同じような事業をしている」「ハコモノの必要性を感じない」。判定は「直ちに事業の目的・手法を再検討するとともに、(建物の)活用方策について検討する必要があり、廃止」だった。

 同館の佐藤千里企画課長は「女性の就労についてノウハウをほしがっている自治体や民間団体は多い。自治体の女性センターの指定管理者になったNPO法人が『運営方法を学びたい』と視察に来た例もある」と反論。相談窓口やセミナーについても「現場のニーズを把握する意味が強い」と言い、事例を分析して自治体や民間団体の職員研修などに役立てていると説明する。

 ただ、こうした役割が国民の目に見えにくいのも事実。見学に参加した同大の佐藤菜都さん(21)は「女性学やジェンダー学を学んでいる者にはとても有益。でも、実生活と何の関係があるのか、わかりにくい」と指摘する。藤掛さんも「展示の充実など博物館機能を強化し、埋もれた女性史を再構成する空間になってほしい」と注文を付ける。

 所管する厚労省雇用均等政策課の吉本明子課長は「事業仕分けの指摘を踏まえて国がやるべきことは何か、必要な改善点を検討している」と話す。【鈴木直】

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 ◇女性と仕事の未来館

 厚労省の「女性と仕事総合支援事業」の一環として、財団法人女性労働協会が運営している。開館は00年1月。初代館長は評論家の樋口恵子さんが務めた。現在(2代目)は女性や家族問題で知られる弁護士の渥美雅子さん。経費(22年度予算)は事業費と人件費で2億4000万円。原則月曜休館。入場無料。

毎日新聞 2010年6月28日 東京朝刊

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