横浜APEC2010 ゴーストタウン 飲食店は悲鳴 MM地区、活気一変
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が始まった13日、会場の「パシフィコ横浜」(横浜市西区)がある、みなとみらい(MM)地区を中心に神奈川県警による警備態勢は最高レベルに達した。全国から応援を含めた2万1000人の警察官が警備に当たる中、普段は観光客や買い物客でにぎわう街は、全く違う顔を見せていた。(太田明広)
▼騒々しい結婚式
赤色灯を点灯させた警察車両が行き交い、主要道路には数メートルおきに警察官が整然と立ち並ぶ。交差点は交通検問や封鎖のためのバリケードが設置されている。通行人が次々と職務質問を受ける厳戒のMM地区を歩くと、賛美歌が聞こえてきた。
会場から北に約500メートル離れた横浜美術館の前で、結婚式が行われていたのだ。厳かな雰囲気の中、新郎新婦が指輪を交換すると、参列者からは祝福の拍手が送られた。
しかし、その拍手をかき消すような警察のヘリコプターの轟音(ごうおん)が上空から鳴り響き、地上では右翼団体の街宣車が大音量で抗議活動。
「こんな日に結婚式とはかわいそう。日取りの変更は難しいものね」と通りかかった同市港北区のパート女性(63)は同情のまなざしを向けた。
▼「普段と違い静か」
「ゴーストタウンになったみたい。街に活気がない…」。人通りもまばらな街の様子を見て、近くに住む会社員の女性(56)は困惑した様子。
飲食店への影響も深刻だ。会場近くの焼き肉店では、客足が遠のくことを予測して約1400円の和牛カルビを半額の700円に下げた。それでも来客は予想をはるかに下回り、売り上げは3分の1ほど。店員は「死活問題だ」と嘆く。
一方で、MM地区に係留されている帆船「日本丸」の絵を描いていた東京都渋谷区の自営業、小又富士夫さん(71)は「普段と違い静かで集中できた」と満足そうだった。
▼さまざまなデモ
MM地区の外に足をのばしてみると、桜木町駅(同市中区)の周辺では、反グローバリズムを主張するグループが集会を行っていた。オバマ米大統領と菅直人首相の着ぐるみをかぶったメンバーらが、おどけたポーズで米国におもねる日本の姿勢を批判していた。
菅首相役を演じていた東京都世田谷区のフリーター男性(29)は「米国にいいなりの日本を批判したかった。言葉より伝わると思い、パロディーでアピールした」と説明した。
神奈川県警によると、市内ではこの日、計9団体が集会やデモを実施し、約4千人が参加した。
民間団体「頑張れ日本!全国行動委員会」(田母神俊雄会長)は、尖閣問題などで中国政府に抗議するデモ行進を行った。
参加者らは横断幕やプラカードを掲げ、「尖閣を守れ!」などと訴えながら約3キロを歩いた。
妻(35)とともに参加していた埼玉県富士見市の男性会社員(44)は「(中国漁船衝突の)映像流出の原因は政府。政治が間違った方向に行くのを見ているだけではなく、国民の意思を示したい」と話した。
会場周辺を歩いたのはわずかな時間だったが、都市部での大規模国際会議のさまざまな影響を肌で感じた。
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