【横浜】横浜市で13日開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は14日、地域共同体の創設に向けて具体的な措置を講じることを約束した首脳声明を採択して閉幕した。オバマ米大統領や胡錦涛中国国家主席など参加各国首脳は、通貨や貿易不均衡などの問題では意見の相違が深まった一方、APEC各国の関係緊密化では幅広いコンセンサスが出来た。
議長を務めた菅直人首相は閉幕に当たって、「域内の貿易・投資の自由化のため共同体としての経済統合を目指す」とうたった「横浜ビジョン」を発表した。景気低迷に悩む日米は、雇用創出のカギは輸出促進とみている。オバマ大統領は13日、APEC会議に合わせて開かれたAPEC最高経営責任者(CEO)サミットで演説し、米国の雇用拡大への強い意欲を示した。
金融危機を受けて貿易障壁を低減することへの懐疑的見方が強まっているが、各国首脳は地域貿易の自由化に向けて、2国間ならびに多国間の取り組みを継続し、それを基に地域共同体を構築するとの戦略を初めて打ち出した。首脳声明は、2020年までにアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を創設するとの目標を再確認するとともに、ドーハ・ラウンド(新多角的貿易交渉)の活性化を図り成功させるとの決意を表明した。
APEC会議では、多国間の貿易枠組みとして交渉が進められている環太平洋連携協定(TPP)に弾みがついた形となった。オバマ大統領は14日開かれたTPP交渉参加国の首脳会合で、来年11月にハワイで開催される次回APEC首脳会議を目指して同交渉を進展させる決意を強調した。
菅首相は同会合にオブザーバーとして参加した。10年間ですべての関税の撤廃を目標とするTTPには現在シンガポール、チリなど4カ国が参加し、米国、豪州など5カ国が参加に同意している。
早期に結果を出すため、各国政府は、より規模の小さな多国間交渉や二国間交渉に力を入れている。だが、こうした二国間の合意も簡単ではない。先週、米韓の経済界の強力な後押しにもかかわらず、両国間のFTA合意は見送られた。
TPPの実現も同様だ。環太平洋地域の貿易ブロック形成について大まかな合意はあるが、米国や中国など主要国間にも潜在的な緊張の兆しがある。TPPでは今後米国の役割が拡大すると見込まれる一方、中国は米国を除外した貿易ブロックの推進を構想している。これは東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に中国、日本、韓国などが加わるというものだ。
今回のAPECの首脳宣言では、TPPとASEANプラス3を併記するにとどまった。しかし主要な参加国の指導者らはTPPの推進を歓迎している。
当初からTPPに参加しているニュージーランドのジョン・キー首相はインタビューで、TPPについて、「幅広い視野からみると、米国が環太平洋地域で、従来よりも積極的な役割を果たそうとしているということだ」と述べ、さらに「もともとTPPに前向きでなかった国々も積極的になってきた」と述べた。