民主党政権が公約した幼稚園と保育所の一体化が後退する可能性が出てきた。政府は16日、子ども・子育て新システム検討会議の作業部会を開き、幼保の新たな改革案を提示。幼保を2023年度に廃止して「こども園」に統合する当初案に加え、現行制度の大部分を温存しながら「こども園」を設置する4案を盛り込んだ。制度改革に強く反発する幼稚園に配慮した格好だ。
幼稚園(全国1万4000カ所)は3歳以上で就学前の子どもを教育し、保育所(同2万3000カ所)は0歳以上で就学前の子どもを保育する。文部科学省、厚生労働省がそれぞれ所管し、国と地方自治体が財政支援している。「こども園」は教育と保育の両方の機能を担う施設となる。
16日の作業部会では、幼保改革の5案を提示。「こども園」を幼児の中心的な教育・保育施設とする点は共通だが、幼保を廃止するかどうかで異なる案を列挙した。
民主党は今年の参院選マニフェスト(政権公約)で、幼保一体化の方針を表明した。これを踏まえて政府の検討会議は11月、「こども園」を13年度に創設し、23年度には幼保を廃止してすべて「こども園」に切り替える案を示していた。
保育所に行きたくとも行けない「待機児童」は今年4月時点で2万6000人。一方で幼稚園に通う子どもは減っている。幼保の一体化は定員に余裕がある幼稚園を活用し、保育所で収容しきれない子どもの受け入れ枠を増やす狙いがある。働く親にとっては子どもを長時間預けながら、一定の教育も受けさせられるという利点がある。
だが幼稚園が「経営の自由度が低下する」と反発。「幼稚園の廃止には絶対反対」(全日本私立幼稚園連合会)、「日本の教育を根底から否定する」(全国国公立幼稚園長会)との批判が相次ぎ、当初案で合意するのが難しい情勢となった。このため内閣府を中心に新案をまとめ、打開策を探る方向に傾いた。
16日に提示した新案については、全国国公立幼稚園長会の大橋由美子副会長が「現場の思いを受け止めてくれて感謝する」と評価した。なかでも幼保と「こども園」を並立する案と、「こども園」に幼保と幼保一体型の施設を含める案への支持が多かったという。政府の検討もこれらの2案を軸に進む公算が大きい。
政府は来年早々に最終案をまとめ、その後の通常国会で法的措置を終えたい考え。どの案を採用する場合でも「こども園」への財政支援を手厚くし、幼保からの移行を促す構えだ。
幼保の一体化論は自民党政権時代から浮上していたが、族議員を巻き込んだ文科省と厚労省の対立も障害となってきた。地方自治体の代表として作業部会に参加した新潟県聖籠町の渡辺広吉町長は「それぞれの立場はわかるが、待機児童の問題など現場で起きていることも考えるべきだ」と苦言を呈している。
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