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<中>無念さ思い夢引き継ぐ「事件を思い出して体調を崩す学生が現れるかも知れない」。県立大では今月に入り、学内メールやゼミの教官を通し、改めて学生にカウンセリング活用を呼びかけた。事件直後、不安や体調不良を訴える学生たちが相次ぎ、28人が実家に戻るなど、大学を休んだ。あれから1年。キャンパスは表面上、落ち着きを取り戻したように見えるが、学生たちの心の傷は癒えていない。 ◆ 事件後にカウンセリングを受けた3年生の女子学生(20)は今でも、街で情報提供を呼びかける立て看板を目にすると、気持ちが沈む。事件が起きてから夜道が怖くなり、防犯ブザーを持つようになった。 「まだ事件は解決してないんだ、と思い出してしまう。でも、最近は学生同士でも話題に上らなくなった。事件が風化してしまいそうで心配。それでは、平岡さんがかわいそう」と表情を曇らせた。 事件後、キャンパス周辺に街灯21基が設置され、青パト隊による見守り活動も始まった。それでもなお学生たちの間には、事件の話はせず、あえて避けようとする複雑な思いがある。 1年生の女子学生(18)は「タブーのようで、今、先輩たちから事件の話を聞くことはない」という。4年の男子学生(22)が打ち明ける。「平岡さんをよく知る学生もいる。ショックを受けているから、事件のことをずっと話題にできずにいた。そして、その雰囲気は今も続いている」。 「前にあった殺人も解決していないし……」と、2004年2月に浜田市黒川町の無職女性(当時77歳)が殺された未解決事件を挙げ、あきらめにも似た心情を吐露する男子学生(21)もいる。 ◆ それでも、学生たちは少しずつ前を向いて歩き始めている。学生や教職員が8月末から整備を続けてきた花壇。平岡さんを悼んで寄せられた献花を堆肥(たいひ)にし土に混ぜ、「ガーデン・オブ・ホープ」(希望の花園)と名付けられた。平岡さんが行方不明になった26日に開園式を行う予定だ。これからずっと、美しい花を咲かせ続けることだろう。 国際舞台での活躍を夢見て、熱心に勉強やサークル活動に取り組んだ平岡さんを、決して忘れない。花壇脇に設置する銘板には、学生と職員全員の誓いの言葉を添える。 「前途洋洋たる人生を、19歳という若さで、まったく理不尽にも奪われ、『夢』は叶わぬままになりました。私達は、彼女の無念さを思い、彼女が果たせなかった『夢』を引き継ぎ、実現することを誓います」 花壇整備にも加わった前学友会長の3年生、冨岡秀行さん(21)は「平岡さんは、学生みんなが悲しんでいるのを見てもうれしくはないだろう。僕らも前を向いて生きていかなければ。花を見て、事件を語り継ぎながら、しっかり元気を取り戻したい」と話す。 警察官になって事件を解決したい、という学生もいる。4年生の石井博文さん(21)。中学生の頃から警察官にあこがれ続け、事件を身近に経験し、思いをさらに強くした。「平岡さんのために、無念を晴らしたい」。 (2010年10月25日 読売新聞)
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