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最終更新:2010年11月16日(火) 18時48分

裁判員裁判初の死刑判決、男性2人殺害

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 強盗殺人などの罪に問われた男に対し、裁判員裁判としては初めて「死刑判決」が言い渡されました。「控訴をすすめたい」。判決を言い渡したあと、そう付け加えた裁判長。異例の発言の背景には何があったのでしょうか。

 16日午前10時半、横浜地裁。裁判員とともに法廷に入った裁判長は、被告を前にこう述べました。

 「理由から先に。主文は後から述べますので座って下さい」(裁判長)

 被告は、覚せい剤密売組織のメンバーだった池田容之被告(32)。去年6月、2人の男性を電気ノコギリで首を切るなどして殺害し、切断した遺体を海や山に捨てたうえ現金を奪ったとして、強盗殺人などの罪に問われています。

 「想像しうる中で最も残虐な殺害方法で、動機も悪質。極めて身勝手な犯行で、酌量の余地はない」(裁判長)

 そう判決理由を述べたあと、裁判長は・・・。
 「主文、被告人を死刑に処する」(裁判長)

 裁判員裁判として初めての死刑判決。「ありがとうございました」と頭を下げる被告を、裁判員の多くはまっすぐ見つめていました。そして最後に裁判長が口にした言葉は、極めて異例のものでした。

 「これは有罪判決ですが、このような重大な結論になったので、裁判所としては控訴することをすすめたい」(裁判長)

 裁判官としては異例の言及。判決後に記者会見に応じた裁判員も「涙を何度も流して悩んだ」、「被告の心情も分かって辛かった」などと苦悩した胸のうちを明かし、裁判長と同様、「被告には『控訴して下さい』と言いたい」と述べました。

 「控訴を勧めたい」との異例の言及について、裁判官として自ら「死刑」を言い渡した経験のある山室惠弁護士は、その心情は理解できると話します。

 「口に出して言うかどうかはともかく、死刑を言い渡した裁判長はみんなそう思っている。自分たち3人(の裁判官)の判断だけで終えてほしくない。誰かほかの人のレビュー、チェックが欲しいという気持ちです」(元裁判官の山室惠弁護士)

 判決の冒頭、裁判長は「裁判員裁判でも、『永山基準』をもとに判断するのが相当だ」とし、従来の死刑を適用する基準を踏襲したことを強調しました。市民にとっては難しい死刑の基準。異例の言及の裏には、「死刑」を@$$EO$9:[H=0w$NIiC4$r7Z8:$9$k0UL#$b$"$C$?$N$G$7$g$&$+!#

 「目の前にいる被告人に対して、『あなたは死になさい』というようなことを決定しなければいけないという心の負担を負わせるというのは、かなり酷だ」(元東京地検公安部長の若狭勝弁護士)

 死刑を言い渡された池田被告は、どのように受け止めたのでしょうか。
 「予想していたことであり、自分がやってきたことについて受け入れなくてはいけない」(池田被告の弁護人)

 10日間の裁判を通じ、初めてスーツ姿で法廷に立った池田被告。
 「『明日は先生、最後だからお母さんがせっかく差し入れてくれたから、スーツを着ますよ』と言っていた。彼の心の奥というのは実は出てきていない部分がある。出てきていないことをどうくんでいただいたのかがこの事件のポイントだと思います」(池田被告の弁護人)

 「死刑」の重み。今後も「死刑」の求刑が予想される裁判が続いていて、裁判員はその都度、「究極の選択」を迫られることになります。(16日17:52)

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