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12歳のSOS:桐生小6女児自殺/下 2日前 /群馬

毎日新聞 11月12日(金)11時51分配信

 ◇「みんな相手にしてくれない」 別の教諭に「涙の訴え」
 自殺3日前の10月20日夜。上村明子さん(12)宅の電話が鳴った。担任教諭からだった。明子さんは19日に「病気」、20日に「家の用事」を理由に2日連続で学校を休んでいた。父竜二さん(51)によると、担任は翌日の校外学習に、明子さんに出席してほしいとの考えを伝えた。
 21日朝、明子さんは6年1組の教室に足を踏み入れた。「なんでこんな時だけ来るの?」「普段はずる休みかよ」。心ない言葉が投げかけられた。学校側の調査結果によると、明子さんをいじめていたのは女児と男児数人ずつ。クラスは当時、学級崩壊に陥っており、担任の指導を無視して、給食の席を勝手に変えていた。
 学校関係者によると、明子さんはこの日、担任ではなく、別の教諭に「みんな相手にしてくれない」「昼はひとりぼっちで食事させられている」と泣きながら訴えた。教諭は担任にこの話を伝えた。
 明子さんは夕方、泣いて自宅に戻り、両親に学校での出来事を伝えた。竜二さんは「これはほっとけない」と思い、学校に電話した。「どうしてくれるんですか」と話すと、担任は「話し合ってみます」と答えたという。市教委によると、担任が校長と話し合った結果、給食は翌22日から、授業と同様に全員が縦1列に黒板に向かってとることにした。
 自殺前日の22日、明子さんは再び欠席した。学校に連絡はなかった。担任は明子さん宅に給食の方針を伝えるために出向いたが、両親は留守で誰もインターホンに出なかった。
 23日。明子さんは午前9時ごろ起床し、朝食の焼きおにぎりを食べた。その後、「ジュースが飲みたい」と竜二さんに頼んだ。普段は自分で買うが、この日は「どうしてもお父さんじゃないとだめ。買ってきて」とねだったという。竜二さんはジュースを買ってあげた後、外出した。
 「明子が大変。すぐ帰ってきて」。午後0時半ごろ、竜二さんの携帯電話が鳴った。母(41)からだった。病院に到着すると、明子さんは変わり果てた姿で横たわっていた。
 「特別にいじめの対象になっているということについては、把握には努めているけども、なかったということになります」。自殺の2日後、岸洋一校長は会見で、「いじめの認識はなかった」と述べた。この会見では、自殺2日前の「涙の訴え」は明らかにされず、今月8日の桐生市教委臨時会で初めて報告された。
 しかし岸校長はいじめと自殺の因果関係を認めなかった。「いじめはあったが、(自殺の)直接的な原因は分からない。明子さんの学校生活で、死を感じさせる様子や言葉がなかった」
 市教委には調査結果発表の翌日、全国から抗議の電話が相次ぎ、電話回線はパンク状態になった。明子さんが発信した2日前のSOS。学校側の対応が適切だったか改めて問われている。(この企画は塩田彩、喜屋武真之介、角田直哉、塚本英夫が担当しました)

11月12日朝刊

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最終更新:11月12日(金)11時51分

毎日新聞

 

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