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【国際】

レアアース発言、外務省が「待った」 先月のWTO会合で準備

2010年11月16日 夕刊

 【ジュネーブ=共同】日本の在ジュネーブ国際機関代表部が、中国によるレアアース(希土類)対日輸出が滞っている問題を10月の世界貿易機関(WTO)の会合で取り上げる準備をしていたところ、外務省が「待った」をかけ、発言を自粛していたことが分かった。複数の通商交渉筋が明らかにした。

 日本企業はハイテク製品の生産で中国のレアアースに依存。発言自粛には、日中関係のさらなる悪化で日本企業へのダメージが広がるのを防ぐとともに、当時横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控え、中国の胡錦濤国家主席との首脳会談に影響が及ぶのを避ける意図があったとみられる。

 10月の会合で日本の代表団は当初、経済産業省が実施した国内企業各社へのアンケート結果などを基にレアアースの対日輸出手続きが滞った事実を説明し、WTO協定違反の可能性もあるとして深刻な懸念をWTO加盟各国に伝えようとしていたもようだ。

 中国によるレアアース輸出停滞が発覚したのは、沖縄県・尖閣諸島付近で起きた漁船衝突事件で中国人船長の拘置延長が決まった後の9月23日。大畠章宏経産相はその翌日、WTO提訴の可能性に言及した。

 中国はWTO協定に抵触する「禁輸措置」を否定したが、その後、欧米向けの輸出も滞っていることが判明。日米欧はWTO提訴も視野に入れ、調査を本格化している。

  レアアース(希土類)  流通量が少ない「レアメタル(希少金属)」の一種で、ネオジムなど17種類の総称。鉄などに混ぜると磁力や耐熱性が強まるなどの効果があり、ハイブリッド車やハイテク製品の性能向上に不可欠。かつては世界各地で採掘されていたが、中国の安値攻勢で閉山などに追い込まれ、現在は中国が世界の生産量の90%以上を占める。中国の輸出規制に対して各国は危機感を持ち、日本は調達先の多様化に向けてベトナムやモンゴルなどと開発面で協力することで合意している。

 

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