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最終更新日 2/25/2007

最近渡米したという在米日本人の皆さんから、アメリカで銃を購入する方法についてのメールや問い合わせを多数受けているので、ここで”非移民外国人がアメリカで銃を購入する方法”をご紹介したいと思う。因みに、法律は常に改正されるものなので、実際に購入する場合には必ず確認を取っていただきたいし、何かトラブルが起きても当方に責任を取りかねるので、全て自己責任の上で行って欲しい。

 

外国人による銃器購入条件

皆さんからの銃購入に関する質問で最も多いのが、「外国人でも購入できるのか?」というもの。「就労ビザ持ちだが購入できるか?」「留学生だけど購入できるか?」といったものが多い。

これらの答えは、YES。合法的に購入可能だ。

ただし、基本的に市民権を持たない外国人が銃や弾を購入することはできないので、購入のためにはいくつかの条件がある。まず最低条件として、年齢制限をクリア(ハンドガン購入は21以上。それ以外は18才以上)し、合法的にアメリカに入国した人で、3ヶ月以上アメリカ国内に居住している者でなければならない。日本人の場合、ノービザで観光目的にアメリカに入国した場合、最大で3ヶ月までの滞在しか許されない。このため銃を購入するには観光客では不可ということになる。

外国人が銃を購入するには、以下の6つの条件のうち1つでも該当していれば許可される。
(参考:ATF Online - Firearms FAQs

  • アメリカ合衆国で合法的に発行されたハンティング・ライセンス(狩猟免許証)、又はそれに準ずる許可証を持っている者。
  • 合衆国政府や州、銃器小売商団体等が主催する、射撃競技イベントに参加、またはそれらが主催する銃器即売会にて展示する者。
  • 外交官。
  • 合衆国政府が指定する外国の政治家、又は著名な人物。
  • 公的機関の人間で、その仕事の為に合衆国に入国した者。
  • 法務省、または州の最高法務官から(銃購入の)禁止令の放棄証書を得た者。

!! 州によっては上の条件だけでは不足な場合があるので要注意。 各地域の法に従うこと。

 

ハンティング・ライセンス(狩猟免許証)

必要な条件のうち、最も一般的なのはハンティング・ライセンスの取得だろう。その取得方法は様々で、カリフォルニア州では、最低10時間以上の講習の受講が必要となる。地域によっては毎週のように射撃場等で講習会が開催されるので、その詳細は個別に調べる必要がある。殆どの場合、土曜日の午前中から5時間、翌日曜日の午前中から5時間開催されることが多い。受講者は子供から大人まで年齢層も幅広い。アメリカでは釣りをするにもハンティング・ライセンスが必要であるため、射撃猟のみならず、様々な猟での法的なことから基本的な山でのサバイバル術まで教えられる。

アリゾナ州発行のハンティング・ライセンスの一部 アラスカ州発行のハンティング・ライセンス

カリフォルニア州でのこうしたライセンス取得までの過程は、他の州から見ると厳しいかもしれない。何故なら、州によっては単純にネットを利用してオンラインでライセンスを購入できるからだ。もし、カリフォルニア州住民で、講習受講の時間が無いという人は、他州のライセンスを購入する手もある。銃購入条件には、「居住する州のライセンスしか認めない」とは、どこにも書いていないので、カリフォルニア州民がアリゾナ州のハンティング・ライセンスを購入しても問題ない。ただし、発行されたライセンスはその州でしか有効ではないので、アリゾナ州で発行されたライセンスを所持してもカリフォルニア州で猟は出来ない。この場合、自宅のあるカリフォルニア州で銃は買えるが、猟をするにはアリゾナ州まで行く必要がある。

ハンティング・ライセンスの種類と価格は各州によって様々であり、他州の人間が購入する場合の一般的な価格は100〜200ドルが相場であり、一方で小動物ハンティングでは20〜30ドルと価格に開きがあるので注意したい。ハンティングをする気はなく、銃を購入するためだけにライセンスを必要とする人は安価な方を選択すると良いだろう。

 

銃購入時に必要なもの

3ヶ月以上合衆国内に居住、年齢制限クリア、ハンティング・ライセンス取得済・・・と、条件が揃ったら、次に必要なものがある。それは以下の通り。

  • パスポート。
  • I-94(入国許可証。通常は入国時パスポートに付属)
  • 合衆国(DMV)で発行された運転免許証。
  • 3ヶ月以上の居住を証明できるもの(3ヶ月分の電気代や水道代の明細書など)
  • ハンティング・ライセンス(又はその他の特別許可証)
  • HSCカード(カリフォルニア州でハンドガンを購入する場合のみ)

とりあえず、これだけあれば銃は購入できる。しかし、カリフォルニア州でハンドガンを購入する場合は、これに加えてHSC(ハンドガン・セイフティ・サーティフィケイト)が必要となる。これはカリフォルニア州だけで必要な証明書であるので、他州では必要無い。

 

HSC (Handgun Safety Certificate)
http://ag.ca.gov/firearms/hscinfo.htm

カリフォルニア州でハンドガンを購入するには、ハンドガンを安全に使用できるという証明書が必要となる。これは、ガン・ショップやガン・ショーの会場等でテストを受けるとディーラーから発行される証明書である。元々、BFSC(Basic Firearms Safety Certificate)という名で選択式テストを受けるか、指定されたビデオを見ることで発行されていた。しかし、2003年からHSCに移行され、選択式テストを受けるのみとなっている。


私の所有するHSCカード

こちらは裏側

以下でその例題をご紹介したい。(問題集のダウンロードはこちら[PDFファイル]から)

 

例題1

ハンドガンを扱う際には、トリガー・ガードの外、または銃の横に指を置く。 Yes / No
例題2 子供の手の届くところに装填済みの銃を置いておけば、軽犯罪又は重犯罪となる。 Yes / No

例題3

最も一般的なハンドガンは次のうちどれ?

A シングル・アクション・リボルバーと、ダブル・アクション・リボルバー
B セミオート・リボルバーと、ピストル
C セミオート・ピストルと、オート・ピストル
D リボルバーと、セミオート・ピストル

 
例題4 ベッドサイド・テーブルに装填した銃をしまっておくのは安全である。  Yes / No

例題5  

一般的に、キャンプ場で装填した銃を所持するのは合法である。 Yes / No

解答は次の通り。 1-Yes / 2-Yes / 3-D / 4-No / 5-Yes

この様に、基本的な銃器の知識や操作方法の他、法律に関する問題までカバーしている。30問中23問(75%)正解すれば合格。実際の問題は全て英語だが、制限時間が無いので、多少英語が苦手な人でも焦らず解答して欲しい。費用は25ドルで2回受けることが可能(2回目も1回目に受けたディーラーでなければならない)で、仮に不合格でも費用を払って何度でも再テストを受けられる。銃についての基本的な安全知識があれば問題無いが、少しでも不安があれば前もって勉強しておくことをお勧めする。練習問題は50セント〜1ドル、解説ビデオは5ドルでディーラーやガン・ショップなどから購入できる。また、テストには安全に銃を操作できるかも試される。実際にハンドガンとダミー・カートを使用して、DOJインストラクター(ガン・ショップの店員)の前で、弾の装填と、装填された弾を安全に取り出す操作をやって見せることが必要。これらをクリアしたら、その場でHSCを発行し受け取れる。

こうして非移民の外国人でもアメリカで銃を購入できるわけだが、この事実を知らないガン・ショップ or ディーラーは非常に多い。自分の経験では、3件に2件は知らず、「外国人はダメ」「エイリアン・カード(移民カード)が無いとダメ」と断られることがあった。この場合、合法であることを説明する必要があるので面倒だ。しかし、銃を購入する際に記入する黄色い登録用紙の裏には、上で紹介した6つの条件を記載した項目があるので、これを元に説明すれば相手も信じやすいだろう。諦めず頑張って説得して欲しい。Good Luck!!

 

番外編: 観光客でも違法に怪しまれず銃を入手できるアメリカ

銃大国と言われるアメリカ合衆国でも、銃の登録を厳しく義務づけ、捺印、犯罪歴を照会し、登録ナンバー等に矛盾があっても許可が下りず購入できない。日本とは違い銃の法律の曖昧さが少なく、何がダメで何がOKかハッキリしている面がある。しかし、ザル法と呼ばれても仕方がないことも多々ある。

法的に観光客は例外なく銃を購入できないが、違法に怪しまれず購入することができる。まず、ガン・ショップや、ガン・ショーで、ブラック・パウダーのシングル・アクション・リボルバー購入する。ブラック・パウダー・リボルバーや、マズルローダー・ライフル等は無登録で購入でき、すぐに持ち帰ることができる。次に、この銃に金属カートリッジを使用するための、適合するコンバーターを購入し、シリンダーを交換する。すると、手元には.45コルトを撃てるリボルバーが完成するというもの。このシリンダーは特殊なものなので、250ドル程度が相場だと思う。多くの場合、銃本体より高価である。しかし、銃本体価格150ドル+コンバーター価格250ドルで、トータル400ドルで金属カートリッジを使用するリボルバーが購入できるのは、法の抜け穴としか思えない。因みに、これは違法であるので、皆さんには絶対に実行してもらいたくない。捕まれば6年(だったと思う)刑務所入りだ。銃の不法所持に対する罰則は各州ごとに年々厳しくなっているので注意していただきたい。

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