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社説
11月8日付  武器輸出三原則   見直しは「平和」に反する  
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 平和国家としての基本理念が大きく揺らぎそうだ。政府・与党が、すべての武器や関連技術の輸出を原則禁止する「武器輸出三原則」について、見直しを含めた議論を本格化させた。

 年末に策定する新たな防衛計画大綱に反映させたい考えで、民主党外交・安全保障調査会が今月中に一定の結論を出すという。

 三原則の見直しは、日本が国際紛争を助長する“死の商人”になりかねず、看過できない。

 拙速に見直すのではなく、日本が国際社会の中でどう生きていくのか、議論を深める必要がある。

 防衛省の見直し案によると、最先端の装備品を比較的低コストで取得し、戦闘機など兵器の国際共同開発・生産に参加する。平和貢献や人道支援を推進するため、海外の国際協力活動での自衛隊の装備品供与を三原則から例外として除外することなどを求めている。

 装備品の国際共同開発や生産に道を開くのが主眼で、国産武器の輸出拡大が狙いではないとしているが、日本の防衛政策、対外政策を大きく転換させるものだ。

 国際紛争を助長しない形での国際共同開発・生産などが実際に可能なのかどうか。自衛隊の装備品供与の除外についても、国際協力活動と紛争介入との線引きは難しい。政府に慎重な論議を求めたい。

 政府が三原則の見直しを急ぐ背景には、欧米で主流となっている最先端兵器の国際共同開発に加わらなければ、先端装備品の調達がさらに困難となるうえ、取得価格も割高となり、必要な防衛力を維持できなくなるとの危機感がある。

 北沢俊美防衛相は「共同開発の流れに遅れれば防衛技術基盤は劣化する。三原則の見直しは、わが国の防衛を支える産業界にとっても一助となる」と積極的な考えを示す。

 米国も三原則撤廃を強く求めており、見直しは日本の産業界や米国の意向を踏まえたものといえる。

 三原則は、1967年に佐藤内閣が共産圏諸国と国連決議による禁止国、紛争当事国への武器輸出を禁止した。さらに76年には、三木内閣が事実上、すべての国への輸出を禁止している。

 しかし現在は、米国に限り武器技術の供与やミサイル防衛(MD)の共同開発を認めており、三原則の形骸化は否めない。

 今回の武器輸出三原則の見直しは、さらにその形骸化に拍車を掛けるものだ。憲法9条の平和理念に照らしても、兵器開発競争に参加すべきではないだろう。

 菅直人首相は先の参院予算委員会で三原則堅持の方針を示す一方、「どういう扱いがあるか、論議したい」と述べた。見直しに向けた前のめりの姿勢を危惧(きぐ)せざるを得ない。

 三原則の見直しは、「日本はいよいよ武器輸出国になる」という国際メッセージを発することになってしまう。日本が推進してきた軍縮外交にも説得力がなくなる。

 日本で作られた兵器が、世界の紛争地域などで一般市民を殺傷する。そんな事態は断じて防がなくてはならない。

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