良い点。
(1)ペン先は、いくぶん柔軟性に優れる。デュマのニブを、ペンを立てて真上から見下ろす。その湾曲の形状は、三日月形のゆるいカーブであり、70年代の149の形状と酷似している。
逆に、ヘミングウェイのペン先の湾曲は、三日月というよりは、ホチキス針のようにコの字であって、がちがちに硬い。
このペン先の丸めに差があるということ。
ただ、ニブの厚さは、70年代の149のペン先と試しに交換してみたときに、円柱状のソケットにギチギチにやっと差し込めたので、70年代の149よりは、ぶ厚い。
僕のデュマにはスイートスポットができてしまっているので、細かった横線が結構太く書けるようになった。 悪筆をご容赦ください。
一方、デュマのキャップのふちは樹脂剥き出しではなく金属でカバーされているので、ひび割れを気にしなくていい。
(3)クリップが良い
クリップのデザインは、パイロット社のカスタム万年筆にも似る。特に、クリップ先端の球、これがいい。処理は精緻で、手でもてあそぶ時その球形が僕の左手の親指に心地いいのだ。また、ポケットに挿した万年筆を引き出すとき、ヘミングウェイの蛇型クリップよりも、デュマの球形クリップのほうが実用的で引き抜きやすい。
(4)なお、僕のペンは、サインミスのものではない。デュマの父子のサインの取り違えについては、散々取りざたされ、語られているので、議論しない。正規サインは、特にプレミアもついてないようである。
欠点
遠慮なく、おかしい点、不満点についても述べる。とくに工作精度について、苦言がある。
(1) まず、キャップトップのスノーマークの角度について。真上から見たとき、天冠のスノーマークの山とクリップの付け根が、1直線にならないのだ。微妙にずれて固定されてしまう位置関係。これは、ヘミングウェイでも見られる現象だ。なんともお粗末。オスカーワイルドなどでは、ぴったり一致するのだが、欧州の人はこういうところは無頓着なのだろうか?
(2) 次に、キャップと本体のねじが、微妙に合致せず、すぐ緩む。
ペンをキャップに収納した時、キャップと本体とは「仮想の」1直線の軸が貫かねばならないはず。
しかし、無造作にペンをキャップに収めた時など、その「軸」にブレが生じ、キャップの片方にペン本体が寄ってしまう現象が生じる。そのために、寄られた方のキャップのふちの金属が本体をこすり、本体のアイス模様の樹脂の部分に擦過傷を与えてしまうのだ。
ねじ切精度の甘さゆえか、キャップがいつの間にか緩むこともある。
この点、ヘミングウェイは軸ブレも無く、申し分が無かった…。ヘミングウェイより4年後のモデルで、そんなつめの甘さが見られるのは残念だ。
(3) ペン先と、本体の3本の金色バーのうち1本は、一直線で配置されると美しいが、最初はそうではなかった。
モンブラン銀座にて調整してもらったときに、技術者の方が直してくださった。しかし、そのようにペン先を組み直すと、首軸ユニットを回転させる工具を差し込む穴とペン先の位置関係が非対称になってしまうのだ。ここは、痛し痒しな部分であり、技術者に「がまんしてください」と言われた気がする。
(4) インク吸入量が少ない。
そもそも、インク吸入のピストンの弁の形が、ラッパ型の逆になってしまっているのだ。
ピストン軸の噛みあわせをギリギリに調整しても、ヘミングウェイが2.0cc、デュマは1.5cc程度のインク量となる。
ただし、これは、考えようによっては、2日に1回は吸入することで、ペン芯の健康保持に役立つかもしれないし、「書いたな」と実感する機会が増えるともいえる。インクは、モンブランのブルーブラックを使用。
だが、さらにいえば、デュマの形状のピストンは、グリスを塗ってもすぐに上下動がスムーズにいかなくなる気がする。すぐに渋くなるのだ。気のせいか?
(5)インク窓がないのは不便だ。いつの間にかインクがかすれ始め、不調かインク切れか、一瞬、おや?と思う。精神衛生上よくない。
だが、窓への着色を気にする必要がないこと、また、経年変化により窓の格子部分の接着が劣化してひびが入るのを心配しなくて良い。考えようによっては良いといえる。
(6)首軸と胴軸の間の金リングの装飾や、3本の金バーの溝に、インクが入り込んだ場合、染み込みが取れないのではないか?という懸念がある。インク吸入時には、ビンにペン先を突っ込み過ぎないように気を使う。
遠慮なく、おかしい点、不満点についても述べる。とくに工作精度について、苦言がある。
(1) まず、キャップトップのスノーマークの角度について。真上から見たとき、天冠のスノーマークの山とクリップの付け根が、1直線にならないのだ。微妙にずれて固定されてしまう位置関係。これは、ヘミングウェイでも見られる現象だ。なんともお粗末。オスカーワイルドなどでは、ぴったり一致するのだが、欧州の人はこういうところは無頓着なのだろうか?
ペンをキャップに収納した時、キャップと本体とは「仮想の」1直線の軸が貫かねばならないはず。
しかし、無造作にペンをキャップに収めた時など、その「軸」にブレが生じ、キャップの片方にペン本体が寄ってしまう現象が生じる。そのために、寄られた方のキャップのふちの金属が本体をこすり、本体のアイス模様の樹脂の部分に擦過傷を与えてしまうのだ。
この点、ヘミングウェイは軸ブレも無く、申し分が無かった…。ヘミングウェイより4年後のモデルで、そんなつめの甘さが見られるのは残念だ。
(3) ペン先と、本体の3本の金色バーのうち1本は、一直線で配置されると美しいが、最初はそうではなかった。
モンブラン銀座にて調整してもらったときに、技術者の方が直してくださった。しかし、そのようにペン先を組み直すと、首軸ユニットを回転させる工具を差し込む穴とペン先の位置関係が非対称になってしまうのだ。ここは、痛し痒しな部分であり、技術者に「がまんしてください」と言われた気がする。
そもそも、インク吸入のピストンの弁の形が、ラッパ型の逆になってしまっているのだ。
ピストン軸の噛みあわせをギリギリに調整しても、ヘミングウェイが2.0cc、デュマは1.5cc程度のインク量となる。
ただし、これは、考えようによっては、2日に1回は吸入することで、ペン芯の健康保持に役立つかもしれないし、「書いたな」と実感する機会が増えるともいえる。インクは、モンブランのブルーブラックを使用。
だが、さらにいえば、デュマの形状のピストンは、グリスを塗ってもすぐに上下動がスムーズにいかなくなる気がする。すぐに渋くなるのだ。気のせいか?
(5)インク窓がないのは不便だ。いつの間にかインクがかすれ始め、不調かインク切れか、一瞬、おや?と思う。精神衛生上よくない。
だが、窓への着色を気にする必要がないこと、また、経年変化により窓の格子部分の接着が劣化してひびが入るのを心配しなくて良い。考えようによっては良いといえる。
(6)首軸と胴軸の間の金リングの装飾や、3本の金バーの溝に、インクが入り込んだ場合、染み込みが取れないのではないか?という懸念がある。インク吸入時には、ビンにペン先を突っ込み過ぎないように気を使う。
(7)重い。
全体で約38g。万年筆本体で約28g。長時間は疲れてくるな。
さて、デュマについて、いままでになく長―く論じてきた。客観的には欠点のほうが多いかもしれない。皆さんは、デュマ、欲しくなりましたか?それとも、べつにいいですか?
さて、デュマについて、いままでになく長―く論じてきた。客観的には欠点のほうが多いかもしれない。皆さんは、デュマ、欲しくなりましたか?それとも、べつにいいですか?