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尖閣ビデオ流出保安官、深夜の“解放” (2/2ページ)

2010.11.16 05:03
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尖閣ビデオ流出保安官、深夜の“解放”
16日未明に“解放”され、深々と頭を下げる海上保安官=16日午前1時25分、神戸市中央区(撮影・甘利慈)【フォト】

 「政治的主張や私利私欲に基づくものではありません」。16日午前1時すぎ、保安官のコメントを読み上げる弁護士の声が響いた。連日の聴取が続いていた神戸市中央区の合同庁舎前は、未明の“解放”を待ち構える報道陣で騒然となった。

 保安官は16日未明、15日に新たに選任した小川恵司弁護士を通じ、事件について「遠く離れた日本の海で起こっている出来事を見てもらい、一人一人が考えて判断し、行動してほしかっただけです」とするコメントを出した。

 また「国民の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。海上保安庁の皆様には申し訳ない気持ちで一杯です」と謝罪。さらに「今回の行動が正しいと信じておりますが、半面、公務員のルールとしては許されないことであったと反省もしております」とした。

 弁護士は、保安官の体調やプライバシー保護を考慮するよう求め、顔を撮影することや実名報道を避けるよう要請した。

 午前1時24分、保安官が1階のホールにゆっくりと歩いて姿を現すと、一斉にたかれたフラッシュを浴びながら約200人の報道陣の前で約10秒間、深々とお辞儀。告白から6日ぶりに姿を見せた保安官は、正面を見据え合同庁舎東側出入り口に向かった。迎えの車に乗り込むまで言葉は発しなかったが、目元は涙でうるんでいた。

 警視庁と検察当局は15日、保安官を逮捕しないことを決めた。今後も任意捜査を続け書類送検する。年内に捜査を終結させ、刑事処分を決定する方針。逮捕を見送った背景には、警視庁や東京地検などが「職務上知り得た秘密」の漏えいに当たるかさらに慎重に捜査する必要があるとの結論に至ったとみられる。

 捜査関係者によると、保安官が4日間に及ぶ任意の聴取に応じているほか、一連の経緯について一定の裏付けが取れたことなどから、証拠隠滅や逃亡の恐れはなく逮捕の必要はないと判断した。



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16日未明に“解放”され、深々と頭を下げる海上保安官=16日午前1時25分、神戸市中央区(撮影・甘利慈)

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