客を連れた「同伴出勤」のノルマ未達成の罰金などを給与から不当に天引きされたとして、東京都中央区銀座の高級クラブの20~30代の元ホステス3人が11日、同店の経営会社に未払い賃金など総額438万円の支払いを求める労働審判を東京地裁に申し立てた。
申立書によると、30代の元ホステスは09年12月に入店し、日給4万6000円の条件で勤務。遅刻・早退、同伴出勤のノルマ未達成など理由を付けて日給の10~100%の罰金を天引きされたほか、客が飲食代金を支払わなかった際には立て替え分も引かれ、今年1~7月は完全に無給だった。前借りに頼らざるをえず、借金が膨らんで8月末で退職した。他の2人も同様で、3人は労働組合「キャバクラユニオン」に加入し賃金の支払いを求めたが、交渉はかみ合わなかったという。
代理人の棗(なつめ)一郎弁護士は「元ホステスはタイムカードで出勤状態を管理され、店の指示でノルマも負わされている。労働基準法違反に当たる」と指摘。元ホステスは「店側に誠意を見せてほしい」と話した。
一方、会社側の代理人弁護士は「自らお客を連れてきて代金も回収する銀座のホステスは(一般の雇用関係にはなく)、『業務委託』が一般的。高給の対価として一定のペナルティーを科しており、結果的に精算すると給与が残らなくなってしまう場合もあるが、それは銀座ルール。申立人の言い分は一方的だ」としている。【市川明代】
毎日新聞 2010年11月11日 19時59分