「0.5円パチンコ」の導入店。高齢の客らで稼働率が高いという=大阪府内、青田写す
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一方のパチンコ業界は、厳しい生き残り競争にさらされている。国家公安委員会規則の改正で若者らに人気が高かった一部のスロット機が2007年に禁止されたため、客離れが加速。業界の市場規模は急速にしぼんでいる。
日本生産性本部が発行するレジャー白書によると、パチンコ店で客が使った金額(貸玉料)は、09年にはピーク時(95年)の7割弱の約21兆円に落ち込んだ。店の倒産も相次ぎ、警察庁の調べでは店舗数も7割弱の約1万2600店に激減している。
こうした状況を受け、業界では数年前から通常の4分の1の貸玉料で遊べる「1円パチンコ」の導入が進み、昨年ごろからは8分の1の「0.5円パチンコ」が登場した。客を少しでも多く集め、「広く薄く」利益を上げるのが狙いとみられる。業界専門の調査会社が今年初めに全国約6千店を調べたところ、約6割が1円パチンコを設置していた。
東京や関西でパチンコ店の経営支援を手掛けるコンサルタント会社の社長は「年収数百万円の20代、30代より高齢者の方が可処分所得は高く今後も期待できる客層。『1円パチンコ』はギャンブル性が低い半面、長時間楽しめる。それが高齢者の人気を呼び込んでいる」と分析する。
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パチンコ店に通うために借金を重ね、家族関係をも崩壊させる――。お年寄りたちにも「パチンコ依存症」の広がりが心配されている。
多重債務者を支援する「大阪いちょうの会」(06・6361・0546)には昨夏、兵庫県内の高齢男性が悲痛な声で助けを求めてきた。「私の力では妻を救えない」。妻は60歳を過ぎたころからパチンコに夢中になり、男性に内緒で消費者金融などに約500万円の借金を抱えた。老後の蓄えも使い果たしたところで、男性に打ち明けた。妻は現在、パチンコ依存症の自助グループで「治療」に専念しているという。