中国が自問する「我々は孤独なのか」

さすがに無視できなくなった国際世論

2010.11.16(Tue) 姫田 小夏

中国

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 11月8日、「国防時報」は「中国は包囲されているのか」を論じる記事を掲載した。

「中国は包囲されているのか」を論じる新聞(筆者撮影)

 中国は日本、韓国、ベトナムなどと領土問題を抱え、またインドとの間にも火種を抱えている。だが、「日本、韓国、シンガポールを除けば貧しい包囲網」であり、その力量、あるいは各国間の利害関係からすれば包囲網を形成するには至らない、と結論づける。

 一方で、中国の一部メディアには「大国を笠に着た、今の中国の態度はまずい」との自覚もある。「国防時報」は次のように記す。

 「中国は領土問題を巡ってますます孤立を深めている。その気勢激しく相手に迫る態度が、逆に米国とアジア太平洋地区の関係を親密なものにさせてしまった」

 「中国が日本を躍起になって攻撃する一方で、ベトナムはレアアースを輸出して助けを出すなど友好を深めている」

 「中央政府の高圧的な態度が共産党の盟友(ベトナム)を失わせ、北の帝国に目を向けさせた」

 いずれも暴走を制するかのような書きぶりである。

21世紀の覇権国家の怖さと孤独

 19世紀の英国、20世紀の米国と世界の覇権国家は移り変わり、21世紀は中国が君臨するのではないかと見られている。

 中国自身も「今後20年内でどの隣国よりも大きくなる」と確信しており、米国もまた「2030年にはGDPが米国を超える」と脅威を抱く。さらに、「中国は、西側が与えた100年の屈辱への恨みに対して、復讐してくる」との見方もある。

 11月8日、「環球時報」は「領土問題の解決にはどんな方法を取るべきか」のアンケート(環球輿情調査センター)を掲載した。アンケートに回答した一般大衆(有効回答数1305件)のうち59.3%が「話し合いで解決」、36.5%が「必要時には武力で解決」と回答している。

 中国はこの先、人として守るべき最低ライン、国家として踏み越えてはならない一線を守り通すことができるのだろうか。

 「目的のためには手段を選ばず」――、そんな暗黙の恐怖を簡単にはぬぐい去れないところに「大国中国」の怖さがあり、「孤独」がある。

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