中国が自問する「我々は孤独なのか」

さすがに無視できなくなった国際世論

2010.11.16(Tue) 姫田 小夏

中国

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 レアアースだけではない。中国のドイツに対する脅威は日に日に増している。

 例えば、ドイツ経済のバックヤードとして支えてきた東欧諸国に、中国がどんどん食い込んできている。ブルガリア旧軍事基地での工業区建設、ポーランドの公路建設の安値応札に至るまで、東欧諸国での様々なプロジェクトに中国の力が及んでいるのだ。

 ちなみに、上海万博閉幕式に招待されたハンガリーのオルバン首相は、上海で温家宝首相と会談を行った。産経新聞によれば、経営危機で国営化されたマレブ・ハンガリー航空への中国・海南航空の資本参加、フェリヘジ国際空港と都心を結ぶ鉄道敷設、ブダペストの環状鉄道の整備に中国が高い関心を示したという。

 また、ポーランドの公路建設では、計50キロの一部区画を、中国海外工程などの企業連合が落札した。ただし、「工費の見積もりは28億ズロチ(約820億円)だったが、落札額は12億8900万ズロチ(約337億円)と格安だった。そのため、地元建設業界は『中国企業は政府支援を受けており、公正な入札とはいえない』と猛反発した」(産経新聞)という。

 ドイツの新聞「ビルト」は「ドイツ経済は警戒態勢に入っている。飢えた中国が我々の資源を買い占めている」と報じる。

 石油、石炭、天然ガス、工業金属などの資源をめぐり、すでにアフリカ、オーストラリア、米国で争奪戦を展開してきた中国が、ついに東欧にまでも手を伸ばしてきた。ビルトはその状況を警戒し、「中国は我々を威嚇しながら繁栄している」(同紙)と伝えている。

強気を貫く一方で、自戒を促すメディアも

 「大国」を自負する中国も、こうした「中国包囲網」は無視することはできない。

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