2010年11月16日7時17分
【モスクワ=副島英樹】13日に横浜で行われた日ロ首脳会談に関し、ロシアの有力紙コメルサントは15日付で、ロシアは北方領土をめぐる交渉方針を転換し、歯舞・色丹の2島引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言に基づいた交渉はもう行わない、と報じた。ロシア代表団の消息筋の話として伝えた。
記事では、領土問題は今年、決定的に行き詰まったと指摘。同筋は、プーチン政権時代は日ソ共同宣言に基づいて平和条約締結後に2島を引き渡す用意があったが、今はロシアの立場は変わったとし、表向きは同宣言を拒否していなくても、もう協議する余地はないとしている。
「日本側はこの問題をある種アニメ的に見ている。我々がまず2島を、さらに4島すべてを引き渡したいと考えたようだが、これらの島はロシア領というのが今の我々の立場だ」とも述べたという。
メドベージェフ大統領は今月1日、日本政府の警告を無視する形で、ソ連時代を通じロシア最高指導者として初めて北方領土・国後島を訪問。13日の首脳会談では、平和条約交渉のアプローチを変えるよう日本側に提案し、会談後には簡易投稿サイト「ツイッター」で領土問題を「解決できない論争」と表現するなど、従来の路線とは違う動きを立て続けに見せている。